1. トップ
  2. 猫と暮らす
  3. 【獣医師監修】症例画像つき!猫の皮膚病の原因・症状から対策まで

【獣医師監修】症例画像つき!猫の皮膚病の原因・症状から対策まで

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

猫の皮膚病の種類はさまざまで、中には命にかかわるものもあります。そこで今回は、おもな皮膚の病気やトラブルの原因・症状・治療法・対策を、症例画像とともに解説します。自宅でのヘルスチェック法もご紹介するので、予防や早期発見に役立ててくださいね。

菌や寄生虫による感染が原因の皮膚病

まずはじめに、菌やノミ・ダニ・シラミなどの寄生虫による感染症からご紹介します。ほかの動物や人にうつるものもあるので、注意したい病気です。

皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)(猫カビ)

原因・症状


感染源は、カビの一種である皮膚糸状菌、通称・猫カビの菌をもっている猫と接触すること。母子感染も多く、子猫など飼い始めの猫によく見られる病気です。感染すると、猫カビが毛や皮膚に増殖し、顔周りや足などが円形・楕円形に脱毛します。猫にかゆみはありませんが、悪化すると脱毛した皮膚にかさぶたや赤いブツブツができることも。人にうつると、首などに紅斑(こうはん)や強いかゆみが生じるため、飼い主さんも注意が必要です。

治療・対策


治療には、猫カビの菌の増殖を阻害する、抗真菌薬の飲み薬を与えます。場合によっては塗り薬が処方されることもあるでしょう。対策として、人が外で猫を触って猫カビの菌を家にもち込むことがないよう、手洗いを徹底してください。また新しい猫を迎える際は、以前の環境下でほかの猫からうつされているおそれもあるので、あらかじめ健康診断を受けておくことをおすすめします。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫の皮膚糸状菌症)」

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫から人にうつる病気」

粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)

原因・症状


ノミや細菌の感染がおもな原因となる病気です。背中や頭部にあわつぶのような小さなポツポツが見られます。飼い主さんが猫をなでたときに、ざらざらした感触で発見することもあるようです。

治療・対策


皮膚の状態に応じ、抗アレルギー剤やステロイド剤を投与して治療します。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「愛猫がノミに寄生されていたら?~原因と症状、有効な駆除薬」

疥癬(かいせん)

原因・症状


猫小穿孔(ねこしょうせんこう)ヒゼンダニが寄生することで、頭部や耳を中心に激しいかゆみや赤み、フケ、脱毛、かさぶたなどが現れる病気です。まれに人にも感染し、発疹や激しいかゆみを引き起こします。

治療・対策


薬剤の投与か、薬浴剤でのシャンプーで治療します。また、スポット剤が有効な場合もあります。人へ感染した場合でも、感染源の猫を治療すれば、自然と治ることが多いようです。不衛生な環境で起きやすい病気なので、適切な衛生管理を心がけて予防しましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫の疥癬)」

耳疥癬(じかいせん)(耳ダニ感染症)

原因・症状


猫の耳の中に寄生する、約0.2mmの小さなダニによる感染症です。黒っぽいガサガサした耳アカが増える、激しいかゆみを感じるなどの症状が現れます。人への感染は疥癬と同様です。

治療・対策


耳掃除でたまった耳アカを除去してから、耳ダニの駆除薬を投与します。さらに、耳ダニを駆逐するため、室内の清掃やマット・布団などの洗濯・消毒も必要です。まずは耳ダニに寄生されないよう、こまめに耳の中をチェックして清潔に保ちましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫の耳ダニ症)」

ニキビダニ感染症(毛包虫症)

原因・症状


ニキビダニが猫の皮膚や毛穴に寄生することで、皮膚炎や脱毛、フケ、かさぶたなどが生じる病気です。頭や耳、首など部分的に見られることが多いですが、全身に広がるケースもあります。

治療・対策


薬浴や薬剤、抗生物質の投与を行います。免疫系の疾患により発症しているおそれもあるため、気付いたらすみやかに動物病院を受診してください。日頃から猫とのスキンシップを心がけることで、早期発見に役立つでしょう。

ツメダニ症

原因・症状


体長0.3~0.5mmほどのネコツメダニが猫の皮膚に寄生することで、軽度のかゆみと大量のフケが発生する皮膚疾患です。人がこのダニに刺されると、発疹や激しいかゆみが生じます。

治療・対策


薬剤やダニの予防・駆除剤を投与して治療します。複数の猫や犬などほかの動物も飼っている場合は、一緒に治療する必要があるでしょう。人に寄生した場合も、感染源の猫の治療を行えば、自然に落ち着くことが多いようです。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「【獣医師が解説】猫のマダニ問題!対策すべき病気と駆除薬の使用法」

シラミ症

原因・症状


猫固有のシラミが寄生することにより、背中のフケやブツブツ、かゆみなどを引き起こす感染症です。また、シラミの成虫や卵が毛に見られます。室内飼いの猫にはまれな病気ですが、不潔な環境で飼育されている猫、体調が悪くてグルーミングできない猫、免疫不全のある猫に発生することがあります。

治療・対策


感染が確認されたら、4~5週間の薬浴や粉薬の塗布を行い、家の中をクリーニングします。スポット剤で有効なものもあるので獣医師に相談しましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「獣医師が答えるQ&A(しきりに体をかく)」

アレルギーが原因の皮膚病

続いてご紹介するのは、体内のアレルギー反応によって引き起こされる病気です。どの猫にも発症するおそれがあるので、予防法や対策を学んでおきましょう。

食物アレルギー

原因・症状


おもに肉・魚などのたんぱく質、小麦・とうもろこしなどの体が有害な異物とみなして起こります。繰り返し同じ成分をとるうちに突然症状が出ることも。猫は強いかゆみを感じ、発疹や脱毛が多く見られます。そのほか、嘔吐や下痢など消化器系の症状が出る猫もいるようです。

治療・対策


治療は食べても症状の出ない療法食を与えます。食物アレルギーは体質なので予防は難しいもの。初期症状で気付くことが重要なので、皮膚に異変が見られたら早めに獣医師に相談してください。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫の食物アレルギー~症状と対策・食事療法」

ノミアレルギー

原因・症状


猫の体表に寄生したノミが吸血の際に注入する、唾液へのアレルギー反応によって起こります。症状が出るのはおもに背中で、激しいかゆみのほか、脱毛やかさぶた、赤く盛り上がったしこりのようなものができることもあります。

治療・対策


まずはノミの駆除剤を投与して治療します。皮膚のかゆみが強そうなときは、抗アレルギー剤やステロイド剤で症状を抑えることも。予防として、こまめな家の掃除と、ノミに寄生されないよう完全室内飼いを徹底し、定期的にノミの駆除剤を投薬しましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫のノミアレルギー)」

アトピー性皮膚炎

原因・症状


ホコリ、ダニ、花粉などのアレルゲンを吸い込んだり、皮膚に付着することで発症します。顔、足、内股、脇の下、下腹部などの皮膚のかゆみと赤みがおもな症状です。猫がなめ続けて、広範囲が脱毛することもあります。

治療・対策


治療は、ステロイド剤などでかゆみを抑えるのが一般的。アレルゲンの特定は難しく、生涯にわたって治療が必要なことが多いのが現状です。部屋をこまめに掃除して、猫の寝床なども丸洗いし、室内のアレルゲンを減らすことが予防につながるでしょう。

蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)

原因・症状


蚊に刺されてアレルギー反応が起こると、刺された箇所にかゆみが出て、赤いブツブツができます。おもに耳や鼻の周辺に症状が出るのが特徴です。

治療・対策


ステロイド剤などを使用して治療します。

そのほかの原因で起こる皮膚病

ここまで挙げたもの以外にも、皮膚の病気やトラブルにはさまざまな要因があります。ストレスや日光、分泌物などによる病気や、原因不明の病気をまとめました。

その他の皮膚病に「蚊刺過敏症」「形質細胞性足皮膚炎」「扁平上皮癌」

心因性皮膚疾患

原因・症状


新しい猫を迎えた、引っ越しをしたなど、生活環境の変化によるストレスが原因となる病気です。とくにかゆみはありませんが、不安を和らげるためにおなかや前足など体の一部分をなめ続けたり、毛を噛み切ったり、顔を激しく引っかいたりして自分を傷つけます。

治療・対策


ほかの病気にかかっている場合もあるので、まずは動物病院の受診を。心因性皮膚疾患の一番の治療法は、ストレスの原因を取り除くことです。新しい猫に慣れるまで別々の部屋で過ごさせる、引っ越し後も愛用していた猫ベッドや猫トイレ、爪とぎ器を引き続き使用するなど、猫にストレスを感じさせない生活の工夫をしましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫のストレスによる脱毛症)」

形質細胞性足皮膚炎(けいしつさいぼうせいそくひふえん)

原因・症状


肉球の一部が大きく腫れる原因不明の病気。進行すると潰瘍ができ、痛みが生じます。

治療・対策


治療は副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン剤の投与などを行いますが、自然治癒するケースもあります。

扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)

猫に多い皮膚がんの代表。耳や顔に腫瘍ができるほか、口周りを気にしてかく、生臭い口臭がする、頬が腫れるなどの症状が見られることも。日光を長時間浴びることが原因の1つと考えられているため、紫外線の影響を受けやすい毛色の白い猫は要注意です。

治療・対策


腫瘍部分やその周辺を、手術で切除して治療。手術が難しい場合は、放射線を照射し、がん細胞を小さくします。がんを早期発見できるよう、ふだんから猫の様子をよく観察し、定期的な体重測定や健康診断を行いましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫の扁平上皮がん)」

日光過敏症

原因・症状


日光の紫外線を長時間浴びることで発症する病気です。耳の先端や顔の皮膚が赤くなり、悪化すると皮膚の腫れや脱毛、かさぶたや腫瘍、出血などが生じます。また中高齢の猫の場合、日光過敏症から扁平上皮癌に進行してしまうことも。体の全体もしくは一部の毛が白い猫や、体毛が薄い部分がある猫はとくに注意しましょう。

治療・対策


薬の投与や薬浴などで、紫外線予防や症状の改善を行います。できるだけ猫が紫外線を浴びないような環境づくりも大切です。日頃から猫の皮膚が赤くなっていないかをチェックし、異変があればすみやかに獣医師に相談してください。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「涼しい時期でも熱中症の危険!? 猫がひなたぼっこするときの注意点」

あごニキビ

原因・症状


あごニキビとは、猫のあごの毛穴に詰まった角質や皮脂の汚れが、空気に触れて酸化したもの。あご周りに1mmほどの黒いポツポツが見られます。重症化するとあごに膿がたまって腫れ、治療が必要になることも。

治療・対策


コットンをぬるま湯にひたして絞り、やさしく拭いてあげてください。のみ取りグシで削ぐようにとかすのも有効です。1カ月以上改善しない場合は、動物病院の受診を考えましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫の猫ざそう(猫ニキビ))」

スタッドテイル

原因・症状


しっぽの付け根が分泌物でベタベタしている状態のこと。猫はしっぽの付け根付近に皮脂腺が多いためこの症状が起きやすく、とくに去勢手術をしていないオスによく見られます。

治療・対策


患部の被毛を刈り取り、症状に応じて消毒や薬の塗布、抗生物質の投与などで治療します。去勢手術後は分泌物の量が減り、改善されるケースが多いようです。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(猫のスタッドテイル)」

首輪の接触による脱毛

原因・症状


首輪をしていると、毛と首輪の摩擦によって毛が抜け、その周辺が脱毛することがあります。また、首輪の素材が合わず、アレルギー反応を起こして脱毛する猫もいるようです。

治療・対策


首輪が原因と考えられる脱毛が生じていたら、悪化しないうちに首輪を外しましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「獣医師が答えるQ&A(首輪)」

自宅でできる!皮膚病に気付くためのヘルスチェック法

最後に、猫を皮膚病から守るためのヘルスチェック法をご紹介します。以下の表のように、気になるポイントを部位ごとに見るだけで、愛猫の異変に気付きやすくなるはずです。月に1~2回の頻度を目安に、ヘルスチェックを心がけましょう。

耳・皮膚・足先のヘルスチェック法

部位チェック方法チェックポイント
耳の中と耳の後ろを見る
耳の中は、先端を軽く持ちめくって見て
黒やこげ茶の耳アカが大量に出ていないか
耳の後ろが脱毛していないか
耳の後ろが赤くなっていないか
皮膚指で毛を逆立て、皮膚をよく見る
ブラッシングついでに確認してもOK
脱毛していないか
フケが多くないか
ノミ・ダニがついていないか、ノミのフンがないか
できものがないか
足先前後の足の肉球を見る
敏感な部位なので、無理せずさり気なく触って
肉球が腫れて変形していないか
「ねこのきもち」2016年7月号より作成

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫医療の現場から最新情報をお届け。猫の皮膚病が増えた理由と対処法」

猫の皮膚病を放置すると、重症化したり命にかかわる病気に進行したりすることもあります。自宅での予防・対策と定期的なチェックを習慣づけ、早期発見に努めましょう。皮膚病の兆候に気付いたら、すみやかに動物病院を受診し、獣医師に相談することも大切ですよ。

さらに犬の皮膚病について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「犬の皮膚病についてのまとめ~原因や症状、治療方法、予防法など」

参考/「ねこのきもち」2016年4月号『脱毛、かゆみからニキビまで 皮膚の病気&トラブル』(監修:北川犬猫病院院長 日本獣医皮膚科学会元理事 三枝早苗先生、北川犬猫病院獣医師 日本獣医皮膚科学会認定医 笠井智子先生、北川犬猫病院獣医師 日本獣医皮膚科学会所属 後藤慎史先生)
   「ねこのきもち」2016年12月号『気になるセカンドオピニオンについても 愛猫をがんから守りたい!』(監修:池尻大橋ペットクリニック院長 日本獣医がん学会獣医腫瘍科I・II種認定医 遠藤美紀先生)
   「ねこのきもち」2016年7月号『愛猫のデータ\マイにゃんバー/で病気を早期発見!見てわかるヘルスチェック』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
   「ねこのきもち」2017年8月号『いつもより、目ヤニがある、食欲がないetc. ○○がある・ないのサインでわかる猫の病気』(監修:ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/nekonote
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

猫と暮らす

更新

関連するキーワード 一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気テーマ

あわせて読みたい!
「猫と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る