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「ただの下痢」だとあなどらないで 猫の腸炎の原因や治療法を解説

猫が下痢をしたとき、多くは腸内の粘膜で炎症が起きています。フードが合わなかっただけということもあれば、大きな病気が隠れていることもあり、その原因はさまざま。今回は、腸炎の症状や原因、治療について、獣医師の小林清佳先生に教えていただきました。

腸炎とは?

こちらを見上げる猫
Photo by Getty Images
腸炎とは、腸の粘膜に炎症が起きて傷ついている状態です。一般的に、急に症状が現れて数日から1〜2週間以内に治まるものを急性腸炎、それ以上続くものや、よくなったり悪くなったりを繰り返すものを慢性腸炎と呼びます。

また、炎症が起きている部位によって、小腸性と大腸性に分けられます。小腸性では栄養吸収が阻害され、大腸性では水分の吸収が阻害されるため、症状に異なる特徴が見られます。ただし、複数の特徴が重なって見られ、炎症部位がはっきりしない場合もあります。

猫の腸の特徴は?

猫の腸は、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、盲腸(非常に小さい)、大腸(上行結腸・横行結腸・下行結腸・S字結腸・直腸)で構成されています。小腸ではおもに栄養素、大腸ではおもに水分が吸収されます。肉食動物である猫の大腸は、人や犬に比べて短くシンプルなのが特徴です。

急性腸炎

上を向き目を細める猫
Photo by Getty Images
まずは、数日で治まることが多い「急性腸炎」について解説します。

原因は?

急性腸炎は、急に下痢や嘔吐などの症状が現れ、多くは数日以内、長くても1〜2週間以内に治まる腸炎のことです。原因の多くは感染症や誤食などですが、フードが合わなかっただけで起こることもあれば、重い病気が関係していることも。症状の激しさと重症度は、必ずしも一致しません。

症状は?

急性腸炎は、下痢(軟便〜水様便)のほか、嘔吐、食欲低下、元気消失、脱水などの症状が見られます。軽い下痢をしているだけで元気・食欲があれば1〜2日は様子を見ることもできますが、3日以上下痢が続く場合や、下記の項目にひとつでも当てはまる場合はすぐに受診を。本来、猫はあまり下痢をしない動物なので、気になることがあれば早めの相談を心がけましょう。

・元気がない
・食欲がない
・吐いている
・排便回数が多い
・血便・黒っぽい便
・かなり緩い水っぽい下痢
・腹痛がありそう(触られるのを嫌がる、うずくまっている、隠れている など)

治療は?

検査をしても明らかな原因がわからないことも多く、対症療法として整腸剤や下痢止めを投与し、半日ほど絶食をして腸を休めたり、胃腸にやさしいフードを与えて様子を見るのが一般的。脱水傾向が見られる場合は皮下点滴を行います。一方で原因がわかった場合は、たとえば寄生虫感染には駆虫剤を投与、細菌感染には抗生剤を投与、腸閉塞が見つかれば手術を行うなど、原因に応じた治療を行います。

慢性腸炎

上を見る猫
Photo by Getty Images
続いて、症状が2〜3週間以上続く「慢性腸炎」について解説します。

原因は?

慢性腸炎は、下痢が2〜3週間以上続いたり、よくなったり悪くなったりを繰り返したりする腸炎です。炎症性腸疾患(IBD)やリンパ腫など難治性の病気が原因になっていることもあるため、くわしい検査で原因を探り、継続的な治療が必要になるケースもあります。

症状は?

慢性腸炎では、下痢が長く続いたり、よくなったり悪くなったりを繰り返すほか、嘔吐や食欲低下を伴うことも。注意したいのは体重減少で、小腸に慢性的な炎症があると栄養をうまく吸収できず「食べているのにやせる」というケースも見られます。軽い下痢・軟便をする程度だと軽症に見えますが、別の病気が隠れていることも。下痢をしたとき、急性か慢性かは判断ができないので、3日以上続く、何度も繰り返す場合は早めに受診しましょう。

治療は?

慢性腸炎の治療は、原因によって異なります。リンパ腫などの腫瘍が見つかれば抗がん剤や外科手術を検討し、膵炎や胆管炎などが判明した場合は、原因疾患の治療を行います。

また、猫腸コロナウイルス感染症やIBDのように根治が難しい病気の場合は、整腸剤や下痢止めを投与して対症療法を行うほか、必要に応じてステロイドや免疫抑制剤による炎症のコントロールを試みることもあります。食物アレルギーが疑われる場合は、体質に合う療法食(アレルゲン除去食や加水分解食)を探します。
猫の腸炎の原因はさまざま。ただの下痢だと見過ごさず、いつもと違う様子があれば早めに受診しましょう。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2026年9月号『「ただの下痢?」と見逃さないために 知っておきたい猫の腸炎』
文/柏田ゆき
※記事と写真に関連性がない場合もあります。
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