ふと気づくと、猫が仰向けで寝ていたり、香箱座りでうとうとしていたり。見ているだけで癒される姿ですが、実は猫の寝姿にはそのときの気分や健康状態が表れていることもあります。今回は、寝方に隠された猫の気持ちや注意すべきサインについて、ねこのきもち獣医師相談室の岡本先生が解説します。
仰向けでお腹を見せて寝る
猫が仰向けで寝るのは、安心しているときに見られる姿。お腹は急所のため、警戒心が強い猫は人前で見せることが少ない部位です。そのため、飼い主の前でお腹を出して寝ている場合は、信頼の気持ちが強く表れています。ただし、高齢猫や体調が悪い猫の場合、仰向けのまま長時間動かないときなどは念のため注意して観察してあげましょう。
香箱座りでうとうとする
前足を体の下に折りたたみ、香箱のような形で座る姿は「香箱座り」と呼ばれます。香箱座りは両前足を折り畳んでいるため、急に立つことができない姿勢。そのため、猫がリラックスしているときに見られるしぐさといわれています。お気に入りの場所でこの姿を見せる場合は、「ここが落ち着くよ」というサインかもしれません。
横向きで伸びて寝る
体を横たえて足を伸ばして寝ているときも、猫はリラックスしています。特に足をピーンと伸ばしている場合は、筋肉を緩めて休めているサインです。ただし、暑いときにこの姿勢をとることもあるので、室温が高くなっていないかも合わせて確認すると安心です。
丸くなって眠る
寒い季節によく見られるのが、体を丸めて眠る姿勢です。これは体温を逃がさず保つための自然な行動です。逆に暑い日でもこの姿勢をとっている場合は、体調が悪く寒気を感じている可能性もあります。エアコンの冷やしすぎには注意しましょう。
変わった場所や狭いところで寝る
猫は安心できる場所で眠る習性がありますが、ときには押し入れの奥や家具の隙間など、狭くて暗い場所を好むこともあります。これは本能的な「身を隠す」行動の一環であり、リラックスしたいときや体調を崩してひとりになりたいときにも見られます。急に隠れるようになった場合は、ストレスや体調不良のサインかもしれません。
寝言や寝ぼけたような行動があるとき
寝ているときにピクピク動いたり、声を出したりすることがあります。これはレム睡眠時に起きる現象で、夢を見ていると考えられています。基本的には心配ありませんが、激しく動く、起きた後もぼーっとしているなどの様子があれば、念のため動物病院で相談してみましょう。
飼い主が気をつけたいポイント
①いつもと寝姿が違う
②寝る場所を頻繁に変える
③体を丸めたまま長時間動かない
④明らかに寝ている時間が長すぎる・短すぎる
このような変化が見られたら、異変のサインかもしれません。温度や騒音など猫が快適に眠れる環境かを確認し、食欲や排泄の様子と合わせて観察してみてください。愛猫が寝づらそうな状態が続くようであれば、体調不良の可能性も考えられます。動物病院を受診して相談してみるとよいでしょう。
文/ねこのきもちWeb編集室 監修/いぬ・ねこのきもち獣医師相談室
※記事と写真に関連性がない場合もあります。