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「いつもと違う」は要注意! 猫の認知症の際立った5つの特徴とは…
飼い主さんはその「予兆」に気づいて、少しでも早く治療をしてあげたいですよね。
今回は、猫の認知症について、ねこのきもち獣医師相談室の先生にくわしく解説してもらいました。認知症の症状には、大きく5つの特徴があるのだそうです。
認知症の予兆、症状について
「いつもと違う様子が見られて、それが『ほかの病気でもたらされるものではない』と診断されたとき、認知症を疑うことになるでしょう」
「認知症の典型的な症状を、英語の頭文字をとって『DISHA』と呼ぶことがあります。
・『D』は Disorientation(見当識障害)。 家の中で迷う、つまずいたりぶつかったりする、飼い主さんのことがわからない。
・『I』はInteraction(接し方の変化)。 飼い主、同居動物などへのつきまとい、無関心、あるいは攻撃性が出る。
・『S』はSleep-wake cycle(睡眠覚醒周期)。 不眠と過眠、夜中の徘徊、日中寝ている。
・『H』はHouse soiling(トイレの粗相)。排泄場所の変化、排便排尿コントロールがきかない。
・『A』はActivity(活動の変化)。異常に舐め続ける、異常食欲、うろつき、よく鳴く。
といった、ふだんでは見られなかった行動をするようになります。
ただし、『飼い主さんが呼んでも反応しない、動きがぎこちない』などは、『耳がよく聞こえていない、体に異常がある』という場合もあり、認知症と区別がつきにくいです。かかりつけの医師とよく相談して見極めましょう」
認知症の原因は「経年性変化」 治療法とは?
「現在のところ、認知症は脳の経年性変化(加齢変化)と考えられています。したがって治療法は、現在の病状をなるべく維持するような薬物療法や、食餌療法が主体となります。
具体的には……
・脳内のドーパミンを生成させる物質、また脳を活性化させるような物質(DHAやDHAなどのオメガ3脂肪酸)や、そのほかの抗酸化物質を食事にとりいれる
・環境からストレスを減らすことで酸化物質の生成を抑える
などです。
猫の場合、認知症になるのは18才以上のことが多く、改善が見られたとしても加齢性の変化に隠れて、見分けが付かないかもしれません」
認知症になりやすい猫の特徴はある?
「猫の認知症は昨今、猫がワクチン接種、不妊手術、完全室内飼いなどによって寿命が延びた結果認識されるようになったもので、人間の認知症との違いを含めてわからないことが多いです。
したがって、まだどのようなコが認知症になりやすいかは、はっきりとはわかっていないのです」
「そうですね。犬のようには犬種の違いで寿命に大きな差がないので、一般的に『15才前後では認知症の症状が見られることは稀で、18才を過ぎたころから認知症の症状が見られる』ようになります。
しかし、猫の寿命は16才前後なので、認知症の症状が現れる前になんらかのほかの病気で亡くなるものと思われます。
ちなみに、野生の猫の平均寿命は5才程度なので、野生の猫では認知症は見られません」
認知症予防のために、飼い主さんができることは?
「原因がはっきりわかっていないので、なんとも言えないのですが、脳の健康に良いといわれているオメガ3脂肪酸類、たとえばDHAやEPAを積極的にとることや、脳を活性化させるために積極的に呼びかけたり、遊びに誘ったりしてみてはどうでしょう?」
「オメガ3脂肪酸はシニア用の総合栄養食に豊富に含まれていますので、年齢にあった良質のフードを与えることも、飼い主さんの大事な役割だと思います」
飼い主さんは、ぜひ認知症の典型的な症状「DISHA」を覚えて、愛猫の異変に気づいてあげましょう。
※写真はアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」にご投稿いただいたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/凜香
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