猫は、どんな猫でもかわいい…
猫はどんな猫でもかわいいですよね。ずっと眺めていたくなるような見た目で猫好きの心を掴んで放しません。
でも、なぜ猫ってかわいいのでしょう? どうやら猫に胸キュンしてしまうのには、科学的・心理的な理由があるようです。その見た目のかわいさの理由について、アカデミックに掘り下げてみました!
猫は「ベビースキーマ」の度合いが高いからかわいい!!
人は、愛情をもって大事にしたい対象のことを「かわいい」と思います。この感情は、オーストリアの動物行動学者・ローレンツの、ベビースキーマ(「自分の子を保護したい」と親に思わせる共通の特徴のこと)という概念がもとになっています。猫は、これに当てはまる点が多いため、人は猫をかわいいと思わずにはいられないのです。
ベビースキーマの度合いが高いほど、人はかわいいと感じます
猫のかわいさ=「ベビースキーマ」はこんなところ
ぷるぷるの肉球
弾力があって、つややかな肉球をかわいいと思うのは、赤ちゃんの肌を思わせるためでしょう。この弾力にはおもにクッションの役割が。ジャンプ時の衝撃を和らげたり、獲物に近付く際に、足音を軽減する効果があります。肉球のつやには、滑り止めの効果も。
見るからにぷにぷに
ほぼ3頭身
一般に、成人の体型は約7頭身。しかし赤ちゃんの頃は、まだ3頭身ほどですよね。猫は赤ちゃんとほぼ同じ比率なので、かわいく見えるのです。また、人は猫を上から見ることが多いので、下の写真のように2足立ちした際、顔が大きく見えるのも、かわいく思う理由でしょう。
猫を見下ろすと体がますます小さく見えます
産毛みたいに柔らかい毛
赤ちゃんといえば、傷み知らずの柔らかな産毛も、チャームポイント。猫の体には、そんな赤ちゃんを思わせる、ふわふわな毛が生えています。その柔らかさは、毛が濡れた姿を見ると一目瞭然! 猫のかわいさに、毛のふわふわ感がいかに大切かわかります。
濡れた姿を見れば、猫の毛の柔らかさは一目瞭然
黒目がちな瞳
猫は夜行性のため、暗闇で効率的に光を取り込めるよう、瞳孔の調節に長けています。瞳孔がとても大きく開くので、黒目がちな印象になるのです。その瞳は、目の開口部が小さく、ほぼ黒目しか露出していない赤ちゃんにそっくりでチャーミング!
瞳孔が大きく開くと黒目がちに
ぱちっと大きな目
赤ちゃんの目は、顔との比率でいうと、大人よりも大きいです。猫も、比率的に目が大きい動物。また、採光のために目そのものも大きいので、かわいく見えるのです。女性が化粧で目を大きく見せたり、人形の目が大きいのも、かわいらしく見せるためでしょう。
目の比率が大きい人の赤ちゃんと同じく猫も……
まん丸な輪郭やマズル
赤ちゃんが、丸みを帯びた容姿なのは、まだ骨格が未発達なため。猫も、輪郭やマズルなどを見るとわかるように、丸みがある動物。さらに猫は、成長してもあまり子猫の頃と変わらず、かわいらしい顔のままです。
面長なハムスターも、エサをほおばってほっぺが膨らんだほうがかわいく見える⁉
ぺちゃっと低い鼻
輪郭などと同じで、猫の鼻は子猫のときの容姿を多く残したまま成長します。そのため、犬などと比べると、成長しても鼻筋がしっかりすることはありません。また、鼻が低いことで、平坦な顔立ちに。これも、猫のかわいさを倍増させるポイントのひとつといえます。
多くの犬は成長すると鼻筋がしっかりします
おちょぼ口(あご)
肉食の猫は、食べ物を丸呑みする傾向が。そのため、奥歯(あご)でじっくり咀嚼しないので、赤ちゃん同様、あごが未発達で小さめです。また、赤ちゃんの多くは、上唇が突き出た〝あひる口〞。猫は、マズルが「ω」のような形なので、より口元がかわいく見えます。
子猫はとくにかわいいおちょぼ口
老いても見た目がほとんど変わらず、一生「かわいい」と言われ続ける要素だらけなんてうらやましい限りですね。猫は見た目だけでなく、しぐさや行動にもベビースキーマ要素があるのだとか。どんなところか観察してみるとおもしろそうです。
参考/「ねこのきもち」2015年6月号『ねこのKawaiiは才能だ!』(監修:上智大学 斎藤慈子先生)
画像/iStock、Getty Images Plus
文/ハナマサ