野良猫だったクレアちゃん(♀/取材当時1才)。出会った当時のクレアちゃんはかなり衰弱しており、残りわずかな力を振り絞って必死に助けを求めてきたのだそうです。
ねこのきもちWEB MAGAZINEでは、クレアちゃんとの突然の出会いや現在の様子について、飼い主さんに話を聞きました。
道端で体がボロボロの状態の子猫を発見
保護当時のクレアちゃん。飼い主さんの娘さんに、必死に助けを求めている様子だったそう。
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クレアちゃんとの出会いは、2021年のこと。外出していた飼い主さんの娘さんが、道端に小さな子猫がいることに気づいた。
ひとりぼっちでどうしたのだろう——子猫にゆっくりと近づくと、目がどこにあるのかさえわからないほどに、子猫の顔はぐちゃぐちゃに汚れていた。体もボロボロの状態で、子猫は水溜まりの水を飲んでいたそうだ。
子猫は娘さんを見つけると、必死に助けを求めるかのように、あとをついてきた。その様子は、生きたくて残りわずかな力を振り絞っているかのようだったという。
当時、ご主人の単身赴任先に滞在していた飼い主さんだったが、娘さんから「子猫を保護した」と相談され、ビデオ通話でやりとりをすることに。まずは子猫を動物病院に連れて行ったほうがいいと、娘さんに頼んだ。
両目の角膜に穴があいた状態で、失明の可能性も
保護して4日目のクレアちゃん。
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子猫を保護して病院に連れていくと、猫風邪と診断された。体はかなり衰弱していて、とても危険な状態だったという。そして、先生から「両目の角膜に穴があいていて、失明の可能性がある」と言われたそうだ。
「このコをなんとか助けてあげたい、視力を取り戻してあげたい——そんな思いで、毎日必死でした。毎日4時間おきに点眼薬を2種類、飲み薬を2回。検査のための通院がしばらく続きました」
飼い主さんは、子猫に「クレア(Claire)」と名づけた。「失明の可能性のあるこのコが、明るく輝く光を感じられる、透明感のある綺麗な瞳になりますように…」という願いを込めたという。
保護してから2週間が経過した頃のクレアちゃん。この頃、生後推定3カ月。
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飼い主さんご家族の献身的なお世話により、少しずつ回復していったクレアちゃん。両目の角膜の穴はキレイに塞がったが、残念ながら左目は失明してしまった。
クレアちゃんの両目の視力を取り戻してあげることができず、飼い主さんはショックを受けて自分を責めてしまいそうになった。しかし、先生の「片目だけでも見えるようになったこと、両目とも角膜の穴がキレイに塞がったこと、これだけでもすごいこと。本当によく頑張りましたね」という言葉に、飼い主さんはとても救われたそうだ。
クレアちゃんの右目の視力が回復しただけでも、奇跡的なこと。飼い主さんは、「クレアの片目だけでも見えるようになって本当によかった」と思えるようになったそうだ。
自身の経験から、飼い主さんは「もしクレアのような子猫に出会ったら、まずは保護して病院に連れて行ってほしいです。また、猫ちゃんをお迎えしたいと思ったら、里親募集されている保護猫たちに目を向けていただけたら嬉しいです」と、思いを話している。
片目が見えないことを感じさせないぐらい、元気に成長していった
(写真左から)クレアちゃん、先住猫・ノアくん
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優しい5匹の先住猫たちにたくさん可愛がってもらったクレアちゃんは、とても甘えん坊で人なつっこいコに成長した。名前を呼ぶと返事をしながら走ってきてくれるそうで、その様子を見ていると「わんちゃんみたいな猫だな」と感じるという。
生後11カ月頃のクレアちゃん
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じつはクレアちゃんと出会う4カ月前、飼い主さんご家族は14年間共に過ごしてきた最愛の愛犬・ルーチェくん(♂/チワワ/享年14才)を亡くしていた。不思議なことに、クレアちゃんはルーチェくんにそっくりなところが多いという。
「もしかしたら、クレアはルーチェの生まれ変わりなんじゃないかな」と、飼い主さんは感じるそうだ。
(写真左から)ララちゃん、キキちゃん、クレアちゃん
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現在1才のクレアちゃんは、少し前にお姉ちゃんになっていた。新しく家族に加わったキキちゃん・ララちゃんの面倒をよく見ており、微笑ましい光景が見られるそうだ。
現在8匹の愛猫と暮らしている飼い主さんは、愛猫たちへの思いをこう話す。
「猫たちのお世話は大変なこともありますが、それ以上に、毎日猫たちから幸せを与えてもらっています。私も猫たちが幸せに暮らしていけるように、居心地のいい空間を作っていきたいです」
写真提供・取材協力/Instagram(
@___kissani_8さん)
※この記事は投稿者さまにご了承をいただいたうえで制作しています。
取材・文/雨宮カイ