甘え？ストレス？猫が人を噛む理由と対処法

猫が突然手を噛んできてびっくりしたことはありませんか？　なついていると思っていたのに、噛まれると不安になりますよね。実は、猫が人に対して噛みつく行動にはさまざまな気持ちや状況が関係している場合が多いのです。甘えの延長だけでなく、ストレスのサインであることも。

今回は猫が人を噛む理由について、ねこのきもち獣医師相談室の岡本先生にお話を伺いました。飼い主さんがとるべき対処法もご紹介します。

猫が人を噛む主な理由

猫が人を噛む行動には、いくつか理由が考えられます。

①甘えや遊びの一環
子猫は幼いころから、遊びの一環として「甘噛み」をすることがあります。この行動は愛情を示したり、遊び相手とのコミュニケーションのひとつとして行われるもので、通常は強く噛むことはありません。しかし、手をおもちゃだと思っている場合は、テンションが上がりすぎて思わず噛んでしまうこともあります。

②撫でられるのが嫌になったサイン
最初は心地よさそうにしていた猫が、途中から突然噛みついてくることがあります。これは「もう満足したからやめて」というサインの可能性が高いです。猫は非常にデリケートな動物で、撫でられることを好む場所やタイミングには個体差や気分による変化が見られます。

③ストレスや不快感
新しい環境、騒音、ほかの動物との関係など、猫にとってストレスを感じる要素があると、攻撃的になることがあります。飼い主に対しても、猫はイライラしたり不安を感じたりしたときに、その感情を表す手段として噛みつくことがあります。

④恐怖や防衛本能から
突然の接触や、大きな音とともに近づかれるなど、猫が驚いたときに防衛反応として噛むことがあります。このような場合、猫は相手を傷つけることを意図して、強く本気で噛みつくこともあるので注意が必要です。

噛まれたときの正しい対処法

猫に噛まれても、大きな声で怒ったり叩いたりしてはいけません。猫との信頼関係が壊れる可能性があります。噛まれたら、すぐにその場を離れ、猫の興奮が収まるまで距離をとるのがよいでしょう。

また、噛まれる前兆として「しっぽをパタパタ動かす」「耳が横に倒れる」「目がつり上がる」などのサインが見られることがあります。これらを見逃さないようにしましょう。

日常でできる予防策

①手ではなくおもちゃで遊ぶ
手をおもちゃの代わりして遊ぶと、猫がそれを「遊び道具」として認識し、噛んでもいいものと覚えてしまいます。おもちゃを使って遊ぶことで、噛む対象を区別できます。

②ストレス環境を見直す
猫が安心して過ごせるように、静かで落ち着いたスペースを用意し、心穏やかになれる環境づくりを心がけることが大切です。来客が多すぎる、ほかのペットとの関係が悪いなども見直してみましょう。

③スキンシップの様子を観察する
猫の表情やしぐさを見ながら撫でることで、噛むタイミングを回避できます。猫が少しでも嫌がる様子を見せた場合は、無理やりその行動を続けないようにすることが大切なポイントです。

猫が噛むのは「意思表示」

猫が人を噛むのは、単なる「悪い行動」ではなく、猫なりの意思表示の可能性が高いです。噛む理由をしっかり理解し、その背景にある気持ちをくみ取ることで、よりよい関係を築くことができます。噛まれてしまったときには、猫の気持ちに寄り添う姿勢を忘れずに対応してあげましょう。

文／ねこのきもちWeb編集室　監修／いぬ・ねこのきもち獣医師相談室
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