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人にも猫にもやさしい社会を目指して 長野県動物愛護センターの取り組みとは?

長野県の動物愛護の拠点施設。
県内の保健所からやってくる猫たちによって、人の心が癒され、人にも猫にもやさしい社会をつくることに貢献しています。そんな「ハローアニマル」の取り組みを紹介します。

*記事内容はすべて、2023年2月10日現在のものです。

ふれあいを通じて命の大切さを育む

長野県の東、小諸市の高台・飯綱山公園の一画にある長野県動物愛護センター「ハローアニマル」(以下、ハローアニマル)。2000年4月に、人と動物が共生する潤い豊かな社会づくりを目指して開設されました。
撮影/後藤さくら
広大な敷地内には、ユニークな形の普及啓発棟と飼養管理棟、屋外施設としてハロードームなど。普及啓発棟エントランス(2階)を入るとガラス窓から光が差し込む明るい空間が広がります。館内にはハローアニマルでの催し物情報や動物たちの名前、クイズなど、ワクワクするような掲示物も。図書ルームを覗いてから階段を下りるとどうぶつ探Q館、ふれあいルーム。中庭に出ると屋根付きの通路でつながるのが動物たちのいる飼養管理棟で、新しい飼い主を待つ猫たちやふれあい活動をしている猫たちが生活しています。
撮影/後藤さくら
入所間もない子猫。獣医師の診察を受けている

必要とされる場所を見つける場所

ハローアニマルでは、開設当初から不登校児童生徒と動物のふれあい場所を設け、「子どもサポート」を行ってきました。学校に行きにくくても動物のいるここでゆったりとした時間を過ごしてもらおう、と。

最初は緊張していても、動物とのふれあいで次第にリラックスした表情を見せるようになるそうです。そのうちに子猫への給餌や子猫の社会化(人になれさせる)のために猫を部屋から出して遊んでもらうこともお願いします。ふれあい猫たちのネームプレートを書いてもらうなど、掲示物の作成や展示などの手伝いをしてもらうこともあります。
 
撮影/後藤さくら
「雨で外遊びができないときはよくここへ来ます」と地元の親子
現在、ひと月に約30人がそれぞれ日時を決めてやってくるそうです。スタッフはマンツーマンで対応し、動物とのふれあい、世話、手伝いを通して、「必要とされている自分、役割を持った自分」を感じてもらいたいと願って活動しています。

猫を正しく飼ってほしい まずは動物愛護の基本を

コロナ禍で活動を縮小していたイベントも、2022年は3年ぶりに再開。夏休みには自由研究の参考になると大人気の「ハローアニマルサマースクール」、9月には「動物愛護フェスティバル2022インこもろ」が開催され、雨天にもかかわらず大勢の参加者が集まり、人気の迷子札作りやクイズラリー、動物とのふれあい、高齢猫と楽しく暮らすコツをお話しいただく講演会も好評でした。

コロナ禍で閉館していた時期を除いて継続していた「猫の飼い方教室」も毎月行われています。「動物に関しての一般向けの講習会も開催していて、『地域猫活動はじめの一歩』と題した講座も、地域猫活動の後押しになればと思って開催しました」(小平さん)
写真提供/長野県動物愛護センター
毎月第2土曜日に行われる「猫の飼い方教室」
今後の課題は、ハローアニマルに高齢猫や猫エイズ陽性など、なんらかの問題を抱えている猫が増え、譲渡されるまでの期間が長期化していること。説明を尽くして、新しい飼い主と巡り合えるように努力しているそうです。
お話しをお伺いした人/長野県動物愛護センター「ハローアニマル」そうだん課課長・獣医師の小平満さん
出典/「ねこのきもち」2023年4月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら 写真提供/長野県動物愛護センター
構成/小出広子

※この記事で使用している画像は2023年4月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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