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「先駆け」といわれた名古屋市動物愛護センター。この40年の変化とは

2030年3月までに、とゴールを定めて「人とペットの共生するまち・なごや」の実現に向け数々の取り組みを推進している、愛知県名古屋市。5年後、どのような成果が生まれるのかが注目です。重要な使命を担う「名古屋市動物愛護センター」では日々さまざまな挑戦と模索を重ねています。

*記事内容はすべて2025年6月1日現在のものです。

動物愛護に向き合うセンターの40年の歩み

緑豊かな丘陵地に広がる平和公園、その一画に「名古屋市動物愛護センター」(以下、センター)は静かに佇んでいます。開設は1985年で、決して今どきのピカピカな施設ではありませんが、40年にわたり時代の一歩先ゆく取り組みを積み重ねてきた場所、といえるのではないでしょうか。

「いいえ。時代の先をゆく、というのは少し大げさです(笑)。でも確かに、80年代に『動物愛護センター』という名を掲げた施設は全国的に見ても先駆けだったといわれています。また、『管理棟』のほかに『愛護館』を備えていたのも画期的だったそうです。当時はまだ業務の中心が殺処分だった時代ですので、私たちの先輩は相当な熱意の持ち主だったと思います」。

そう話すのは、所長の山岸純二郎さん。愛護館は、開設当初より「動物愛護と適正飼育の普及啓発」に取り組んできたといいます。2014年にはより市民に開かれた場所になることを目指し、動物とのふれあいを大切にした空間へと大幅にリニューアルされました。また、翌2015年にはセンターが30周年記念事業を開催。その際に「動物愛護宣言」を掲げ、名古屋市は殺処分のない社会の実現に向けて歩み出しました。
写真提供/名古屋市動物愛護センター
「愛護館」の象徴的なピンク色の猫の飼育室。リニューアル前の重たい雰囲気を払しょくし、市民に親しみやすい空間に生まれ変わった
写真提供/名古屋市動物愛護センター
定期開催している「おとなの猫の譲渡」の様子。センターではとくに成猫の譲渡に力を入れていて、SNSでもその魅力を発信している

多くの人とつながり、命をつなぐセンター

愛護館がリニューアルする少し前から、動物愛護や正しい飼い方について地域の理解を深める活動を担う「動物愛護推進員」や新たな飼い主を見つけてくれる「譲渡ボランティア」と連携するようになったというセンター。譲渡ボランティアは今では70程度の個人・団体が登録し、センターを運営する上で大きな支えとなっているそうです。

一方、センターでも譲渡に向けて熱心に取り組んでいます。愛護館の壁には職員による手づくりの掲示物がたくさん貼られ、インスタグラムを見れば猫たちの何気ない日常を切り取った動画や写真が満載。1匹ずつに愛情を注ぎながら“家族探し”に尽力している姿勢が伝わってきます。

「じつは、名古屋市では早くから動物愛護を掲げていたにもかかわらず、2009年度に猫の殺処分数が全国の政令指定都市の中でワースト1位になりました。その後、本格的に“命をつなぐこと”に重点を置いた方針へと転換するようになったのです」
写真提供/名古屋市動物愛護センター
猫エイズウイルス(FIV)に感染した猫のための専用ルームもあり、ここで暮らす猫たちも新しい飼い主さんにつないでいる。現在12匹を収容
出典/「ねこのきもち」2025年8月号『猫のために何ができるのだろうか』
写真提供/名古屋市動物愛護センター
取材・文/野中ゆみ 

※この記事で使用している画像は2025年8月号『猫のために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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