1. トップ
  2. 猫が好き
  3. 雑学・豆知識
  4. 殺処分数ゼロを目指して 茨城県動物指導センターとボランティアの命をつなぐ連携

猫が好き

UP DATE

殺処分数ゼロを目指して 茨城県動物指導センターとボランティアの命をつなぐ連携

ケガをした猫や目も開いていない子猫などが収容される茨城県動物指導センター。
まずは猫たちの健康状態をチェックし、必要な治療を施すなどしてから、新たな飼い主を探す登録ボランティアのところへ。猫たちの幸せを願うセンターの取り組みを紹介します。

*記事内容はすべて、2022年10月10日現在のものです。

殺処分ゼロをうたう条例が制定された

陶芸の里として知られる茨城県笠間市にある茨城県動物指導センター(以下センター)。センターには、管理棟、動物棟、飼育舎などがあります。収容された猫の給餌や、飼育舎の清掃などの飼養管理は、通常、委託業者が実施していますが、生後まもない子猫たちがいる部屋は事務室のある管理棟内。そこではセンターの職員たちが世話をしています。
撮影/後藤さくら
吉田さんが連休中に自宅でミルクをあげていた「まじんくん」。病気を克服して元気に
茨城県では、平成28(2016)年に、殺処分数ゼロをうたう条例として全国初となる「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」が制定されました。条例制定前、茨城県は犬猫の殺処分数が全国でワーストランキング上位。なんとしてもそこから抜け出そうという思いが条例制定を後押ししたといいます。

条例が県民の動物に対する愛護意識を高めることにもつながり、動物愛護ボランティア団体・個人の方々からも積極的な協力をいただけるようになり、殺処分数は減少、譲渡数は増加しました。センターから猫を迎え新しい飼い主へつなぐ登録ボランティア(個人・団体)はおよそ80。県内だけでなく首都近郊で活動しているボランティア団体も猫たちを引き取りに来てくれます。
撮影/後藤さくら
ミルクボランティアのお世話で命をつないだ子猫
「私たち行政は負傷や衰弱した猫、自活できない子猫を収容しますが、譲渡先探しまではできません。センターから猫を引き取り、譲渡へと橋渡ししてくれるボランティアの方々の協力で、多くの猫たちの命を助けていただいている状況にあります」と、愛護推進課課長の吉田美穂子さん。

収容される猫の8割が子猫たち

撮影/後藤さくら
生後間もない子猫たちは、シリンジを使って3時間おきにミルクタイム
センターでは、母猫がいないなど自活できない子猫や、交通事故等によりケガをしたり衰弱したりした猫を保護したとの連絡を受け、収容しています。センターに収容される猫の8割以上が子猫です。

取材時の8月には管理棟の子猫部屋におよそ70匹、3時間ごとにミルクが必要な生まれたばかりの子猫もいるので、職員が交代で世話をしています。子猫の収容が少ないときは、土日に自宅へ連れ帰って面倒を見る職員もいますが、数が増えると休日出勤して世話をすることも。
s撮影/後藤さくら
管理棟の一角、一年中温度管理された子猫部屋
それでも人出が足りないため、ミルクボランティアの協力が欠かせません。現在、20名ほどのミルクボランティアが子猫を一時的に預かって、数時間おきの授乳や排泄の世話、健康観察などをしてくれています。ミルクボランティアの元で人間に懐いて、愛される猫に成長する子猫たち。

無事、離乳して固形のフードが食べられるようになるとセンターに戻り、新たな飼い主を探す活動をするボランティア団体等へ引き渡されます。「子猫の増加は、もとは、去勢・避妊手術をせずに飼い猫を屋外に出すことや、ノラ猫への無責任な給餌にあります」と吉田さん。適正飼養の普及が急がれています。
お話しをお伺いした人/保護犬猫情報発信センターラフスペース
出典/「ねこのきもち」2022年12月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら 写真提供/茨城県動物指導センター
構成/小出広子

※この記事で使用している画像は2022年12月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
CATEGORY   猫が好き

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「猫が好き」の新着記事

新着記事をもっと見る