「あの時、瀕死状態だった月ちゃんが、こんなにも元気になってくれたことが嬉しくて仕方ないんです。とにかくこれからも元気で健康に長生きしてくれたら、それだけで充分です」
こう話すのは、黒猫の月ちゃんの飼い主さん。
今の月ちゃんの姿からは想像できませんが、飼い主さんが月ちゃんと出会ったときは、ガリガリでかなり衰弱し、命が危ない状態だったのだそう。
そんな月ちゃんが今の飼い主さんと出会い、いろんな困難を乗り越えて、大切な家族になるまでを追いました。
月ちゃんとの出会い
2017年8月、愛犬シー・ズーのひよりちゃんのお散歩をしていたときに、公園の出入り口の真ん中で、ガリガリで衰弱した子猫を見つけた飼い主さん。
「声をかけるとフラフラと近寄ってきたので、助けてほしいんだな、何とかしなきゃ…と思いつつも、重度の猫風邪なのは見ただけでわかりました。
もう19時を回っていたので、病院はまだ開いてるのか、ひよりに何か影響が出ないか…という不安も頭をよぎりました」
不安もあるけれど、小さな命を見捨てることはできないーー飼い主さんは月ちゃんを保護する決断をし、その場で動物病院に電話を入れて、月ちゃんの手当てをしてもらうのでした。
このとき、先生からは「歯が生え始めているのでおそらく生後1カ月くらい。あと1日保護が遅れていれば危なかった」と言われたのだそうです。
先住犬・ひよりちゃんと月ちゃんの関係性
飼い主さんのおうちにやってきた月ちゃん。突然の月ちゃんの登場に、先住犬のひよりちゃんは「新しいおもちゃがきた!」と思ったのか、大喜びで月ちゃんのそばを離れなかったそう。
でもそれから程なくして、月ちゃんのお腹に寄生虫がたくさんいることが判明。月ちゃんとひよりちゃんを隔離することになったのです。
この隔離していた数カ月で、ひよりちゃんは月ちゃんに対して恐怖心が芽生えてしまったのだそう。
月ちゃんの里親を探すことも考えていたけれど……
保護したとき、月ちゃんを迎え入れる覚悟をしていた飼い主さんだけれど、一方で里親を探すことも考えていました。
というのも、当時の飼い主さんのご自宅が、物理的に猫を飼うのが難しい状態だったから。さらには、ひよりちゃんが月ちゃんを怖がるようになってしまったことも、理由のひとつです。
そんな状況だったけれど、月ちゃんのお見合いが決まるも、結果は実らない。月ちゃんのお世話をするにつれ、すっかり情も移っていくーー「手元に置いておきたいけれど、里親を探さなくては」という複雑な気持ちで、家族で意見が衝突することが多かった時期も。
そんな中、偶然にも引越しをすることになり、猫と暮らせる状況に変わっていくのでした。
「月ちゃんが家族になるのは運命だったんだねと、家族で話しているんです」
偶然だったのかもしれないけれど、飼い主さんご家族は運命を感じたといいます。
また、月ちゃんとひよりちゃんの関係にも、少しずつ変化が見られます。
「爪切りのときに大鳴きした月ちゃんを心配して、ひよりが飛んできたことがあって。ふとしたキッカケでプロレスごっこが始まり、ひよりが初勝利したんです! それ以降、少しずつ2匹の距離が縮まっていきました」
とっても仲良し……というわけではないけれど、この出来事以降、月ちゃんにとってひよりちゃんは、なんだかんだ「一番好きな存在」に。
ひよりちゃんにとっても、月ちゃんは「いないと寂しい存在」になったようです。
「お互いにくっついていることがほとんどない月ちゃんとひよりですが、たまに一緒に寝ている姿を見かけると、いろいろあったけど家族になったんだなぁと幸せを感じます」
月ちゃんが家族に加わり、嬉しい発見も♪
月ちゃんが家族に加わり、一緒に生活をする中で、新たな幸せを見つけた飼い主さん。
これまでは犬としか暮らしたことがなかったけれど、月ちゃんがスリスリして甘えてきてくれたり、遊んでほしいときにおもちゃを持ってきたり、「猫ってこんなこともするんだ」という発見もあったそう。
そんな月ちゃんの姿を見ると、たまらなく幸せを感じる瞬間だといいます。
月ちゃんと出会ってから紆余曲折があったし、たくさん悩むこともありました。
お互いにマイペースでツンデレな性格だという月ちゃんとひよりちゃんは、時には喧嘩をすることも。でも、2匹はお互いが心地よいと思う距離感で、今日も一緒に過ごしています。
そんな2匹の姿を、ぜひ
飼い主さんのInstagramでもご覧ください♪
参照/Instagram(
@hiyori__biyori)
取材・文/雨宮カイ