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人生の先輩猫「ぶさにゃん先輩。」~沖昌之の『フォレスト ニャンコ』#2

1. ぶさ夫? ぶさにゃん? 名前が決まるまで。

ぶさにゃん先輩。と言わしめた一枚。
©Masayuki Oki
↑ぶさにゃん先輩。と言わしめた一枚。一挙手一投足を見逃さず ハチワレさんはついていきます。
ぼくがねこの写真を撮ろうと決意させた アメショ柄のねこ。
最初は全く名前が決まっておらず。

そもそも、ぼく自身ねこに名前を付けることはなくて、でも、なんとなくぶちゃいくだなーっと思ってたのもあり、「ぶさ夫」とか「ぶさにゃん」とかその時の気分で呼んでたのですが、このシーンに出くわして『ぶさにゃん先輩。』に決定しました。

なぜか、ハチワレさんが慕ってるようにぶさにゃん先輩。の後ろを歩き方をマネして歩いてたんですよね。
しっぽがうれしくって立ってしまってるので、きちんとマネできてないのですが。

2.  ぶさにゃん先輩。はいつも寝てる。

イカ耳なので寝てない。
©Masayuki Oki
↑イカ耳なのでおそらく寝てないぶさにゃん先輩。そっとサクラを乗せてみる。
ぶさにゃん先輩。はいつも寝てます。
目を覚ますと少し毛づくろいしてまた眠る。全く見ばえが変わらないので、いつしかぼくの中でぶさにゃん先輩。の眠っている写真を撮るときには、季節を感じるものを乗せるブームができました。

この時は、そっとサクラを頭の上に。
当時は、「いい感じに撮れたな」と思っていたのですが、どう見てもイカ耳してますよね。

ぶさにゃん先輩。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
いい夢見ててほしいなぁ。
©Masayuki Oki
↑秋のかけ布団。いい夢見ててほしいなぁ。
こちらは秋バージョン。
すやすや寝てる感じがします。

いい夢見ててほしいな、ぶさにゃん先輩。

3.  ぶさにゃん先輩。との別れ。

考える。ふり?
©Masayuki Oki
↑考える先輩。 にゃむにゃむ…。考える。ふり?
2013年の大晦日に出会ったぶさにゃん先輩。
ぼくは、ずっといてくれるとなぜか思い込んでいて、別れが来るとか全然思ってなかったのですが、別れは突然やってきました。

2015年の春ごろに、当時勤めていた会社を突然思い立って辞めてしまったのと、ちょうど同時期に、飛び猫で有名な五十嵐健太さんが主宰している「ねこ専」という、ねこ写真の合同写真展に参加することが決まっていたので、無職ですることもないし全力で取り組もうって、すっごい現実逃避で臨んでました。

その写真展の前々日くらいに、ぶさにゃん先輩。にあいさつに行ったら、全く見つけることができなくて。
その翌日にも会いに行ったのですが、やっぱり見つからなくて、気が気でないまま 写真展が始まりました。

会期中は全日在廊していたかったので、ぶさにゃん先輩。を探しに行くこともできず。
とても不安なままでも、写真展はきっちりこなそうと乗り切ったのですが、写真展が終わった後も、ぶさにゃん先輩。とは会えませんでした。

また会えそうな気はしてたけど、でも会えないのはそういうことなのかなって受け入れて。
とてもつらかったけど、つらいって言う資格は飼ってないので言えないなって、自分の中のこととして処理してたけど、本当にさみしかった。


ごはんをくれる人にしか甘えなくて、ぼくには一切甘えてくれなかったけど、雨の日は誰も来てくれないから、途端にぼくに懐いてくるしたたかさとか。
本当にかわいくて、そして自分にとっては、猫写真家へ歩むきっかけをくれたねこだったから。

ぶさにゃん先輩。との別れと入れ替えに、出版社から連絡が奇跡的にやって来て、トントン拍子で出版の話になり、感傷に浸っていられる状況でなくなったぼくは、とりあえず写真を撮りつづけるしかないと、その当時は一心不乱で撮影してました。

4. ぶさにゃん先輩。のその後。

たまに跳びこえます。
©Masayuki Oki
↑手を添えてゆっくりと次のステージに。
ぶさにゃん先輩。のその後がわからずにひたすら、先輩。のいた公園で撮影をして半年くらい経ったころ。

いつものように四つん這いで撮影をしていたら、ご近所のかたに突然声をかけられました。

『いつも、ぶさいくなねこを一生懸命撮ってる方??』

その方は、ぶさにゃん先輩。のことをとても知っていて、「ぶさにゃん先輩。は西亀有の老夫婦にもらわれていった」とのことでした。
老夫婦の飼ってたねこが亡くなってしまったらしくて、改めて飼うにも自分の年齢を考えると…と躊躇していた時に、ぶさにゃん先輩。に出会ったとのことでした。

捕獲の初日は、老夫婦だけで迎えにきたらしいのですが、ぶさにゃん先輩。全力疾走しようとしてもスキップレベルなのに、老夫婦から逃げきったらしいです。
二日目は若い方と三人できたらしく、ぶさにゃん先輩。さすがに逃げきれずに捕獲されたとのことでした。

先輩。やっぱりかわいい。
このエピソードがすでにかわいい。

しかも、お年を召したねこはなかなか貰い手がつかないのに、ぶさにゃん先輩。はそんなジンクスとかお構いなしに見初められて さすが先輩!
もう会えなくてさみしいけど、でも、ぶさにゃん先輩。が家でのほほんとすごしてると思えるとうれしい。
ぶさにゃん先輩。がその老夫婦に愛されて毎日生きてると思うと ぼくも幸せだわ。

ぶさにゃん先輩。はぼくの人生を猫写真家へと狂わせて、するべきことをしきったから、家猫に戻ったのかな。

本当に ぼくにとっての人生の先輩だわ。

ありがとうね、ぶさにゃん先輩。
幸せでね!!

プロフィール

沖 昌之

猫写真家
著書に『ぶさにゃん』(新潮社)『必死すぎるネコ』(辰巳出版)『明日はきっとうまくいく』(朝日新聞出版)など多数。
令和元年5月に、初の写真絵本『にゃんこ相撲 下町編』(大空出版)を発刊。
日本テレビの『Oha!4 NEWS LIVE』で「おはにゃん」を担当するなど、表情豊かな外猫の事前な姿をとらえた写真が人気。

Masayuki Oki 猫写真家 (@okirakuoki)|Instagram

猫写真家・沖昌之さんの作品も多数出展!『ねこがかわいいだけ展』全国5会場で開催!

【公式】ねこがかわいいだけ展 ページ

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