これは、
もと(きんぎょ)さんが手掛けたペン画の作品。猫の特徴をよく捉え、そのコの気持ちまでもが伝わってくるよう作品の数々は、Instagramで公開するたびに猫の飼い主さんたちからも反響があります。
もとさんは、子どもの頃から絵を描くことがなにより好きだったそう。今では、猫を主題とした銅版画、ペン画、絵皿と手法の異なるものを制作しています。
もとさんが猫の作品を中心に作るようになったのには、ある1匹の猫との出会いがあったそうです。
ネットで見つけた1匹の猫に心を動かされて
もとさんは学生時代、スケッチブックと鉛筆を片手に、各地の動物園のオランウータンや競馬場の馬を描きに足を運んでいたそう。
しかし、ある日ネット上で1匹の三毛猫と出会ったことが、もとさんに大きな影響を与えることになったのです。
「彼女をもっと上手く描きたい、彼女を大切にされているご家族の想いまで描ききりたいーーそう思い立ち、猫の絵を専門に描いてみようと決意しました」
「そんな経緯もあり、特にペン画ではそのコがどんな環境にいて、どんな風に人と関わっているコなのか、人を信頼して人が大好きなコなのか、地域猫で人と関わることはあるけど一定の距離は置いているコなのか、まったく人を信頼していないコなのか…そうした内面の部分まで大切にしています」
「モデルとなる猫の心まで表現できるような絵を描きたいーーそう思いながら日々制作しています」
猫と飼い主さんに寄り添い、もとさんが感じ取ったものをすくい上げて丁寧に描かれた作品。飼い主さんが大好きな愛猫の表情や姿が、1枚の絵として形に残るのです。
「日本らしさ」を意識して 和紙を使った銅版画の作品
ここまでペン画の作品を紹介しましたが、銅版画の作品も魅力的です。
もとさんは定期的に海外の版画コンペに出展しているそうですが、その経験をきっかけにこれまで意識しなかった「日本らしさ」を作品に込めたいと思うように。そこで、銅版画という西洋の技法に日本の和紙を使って制作するようになったそうです。
銅版画とはどのようにして作られているのか、もとさんに聞いてみました。
「銅の板を磨き整えてから、ニードルと呼ばれる鉄筆で描画します。時間をかけて腐食する銅版画制作は、擦り終えて銅版から紙を捲るまで、成功か失敗か分かりません。失敗したと思えば、また板を磨くことからやり直しです」
「時間も手間もかかりますが、その分思い通り狙い通りに仕上がると作品に対する愛しさも倍増です」
オーダーメイドで猫の絵皿の制作も
©もと(きんぎょ)
もとさんは今年の春から、絵皿の制作にも力を入れているようです。
「私の作る絵皿は、信楽の土を素焼きしたものに専用の絵の具で絵を描き、本焼きするというものです。本格的な焼き物で、完成したものはとても堅く焼き締められています。そのため、飾っていただくのはもちろん、日常使いにもおすすめです」
本焼き前の絵皿
本焼きの前の絵皿/©もと(きんぎょ)
今回、「本焼きする前」と「本焼きした後」の作品も見せていただきました。まずこちらが、本焼きする前の状態の絵皿です。
本焼き後の絵皿
本焼き後の絵皿/©もと(きんぎょ)
そしてこちらが、本焼き後の絵皿。焼くことで色がはっきりと美しく見えるようになるのがわかります。
©もと(きんぎょ)
お客さんから依頼を受けて制作する、愛猫がモデルとなった世界でたったひとつの絵皿。自宅用としてはもちろん、贈り物としても好評のようです。
今後の夢は、猫の作品ばかりの版画屋を実店舗で持つこと
ある1匹の猫に心を動かされたことをきっかけに、もとさんはクリエイターとしてさまざまな猫の作品を手掛けてきました。そんなもとさんに今後の展望を聞いてみると、次のように語ってくれました。
「今はウェブ上が主に作品の発表の場ですが、いつか猫の作品ばかりの版画屋さんを実店舗で持つことが大きな夢のひとつです」
もとさんの作品が気になった方は、Instagramをチェック♪
もとさんの作品をもっと見たいという方は、ぜひ
もとさんのInstagram(@kingyo0918)を覗いてみてください。紹介しきれなかった素敵な作品がまだたくさんあります。
また、ペン画と絵皿はオーダーメイドでの注文も受け付けているようです。気になった方は、もとさんのもうひとつのInstagramアカウント(
@2969gm)をチェックしてみてください!
愛猫の大好きな姿を、ひとつの作品として残せたら素敵ですよね♪
参照/Instagram(
@kingyo0918、
@2969gm)
取材・文/凜香