ほとんどの猫は、全身毛で覆われていてふわふわですよね! 実は、猫の毛は均等な長さで生えているのではなく、体の部分により長さが違うのです。今回はこのふわふわな猫の毛の種類を、「からだ」「顔」「足」のパーツに分けて解説します。
猫の毛の基本的なこと
毛が生えかわる周期は?
猫の毛は、約3ヶ月半の周期で自然に抜け、新しい毛に生え替わるといわれています。
古い毛が抜けるのは、新しい毛がある程度伸びた後なので、猫は1年中毛に覆われているのです。
また、夏は太めの毛がまばらに、冬は柔らかい毛が密に生えるなど、季節によって毛の状態は異なります。
毛の本数はどのくらい?
猫の種類や部位によって異なりますが、生えている毛の本数は1cm四方につき約600本。
1つの毛穴からは、約7本ほどの毛が生えているようです。
皮膚を保護している「からだの毛」
ほとんどの猫は「上毛」と「下毛」の2種類の毛で覆われた、ダブルコートという毛の生え方をしています。
一方、「下毛」がなく1種類の毛でしか覆われていない猫種(例:シンガブーラ、シャムなど)もあります。このような毛の生え方を、シングルコートといいます。
外側を覆っている「上毛」
猫のからだの外側から見える毛です。ひげを除く毛の中では、一番太く硬い毛質をしています。
下毛を守り、紫外線から皮膚を保護する役割があります。
内側に生えている「下毛」
猫のからだを覆う毛で一番短く、細く柔らかい毛です。
上毛の内側部分に、皮膚に密着して生えていて、体温調節をする役割があります。
危険回避の役割を持つ「顔まわりの毛」
顔周りの毛には、たくさんの種類があります。
主に、危険を回避するための役割をしている毛が多いことが特徴です。
口元に生えている「上唇毛」「下唇毛」
「上唇毛(じょうしんもう)」は、猫の口の左右に生えている代表的なヒゲです。左右合わせて平均24本ほどあります。この毛が、からだや足より先に物に触れることで障害物を事前に感知し、危険を回避することができます。また、からだが通過できる幅を測る役割も持っています。
口の下に生えている「下唇毛(かしんもう)」は、あごの下にある物を探る役割があります。「上唇毛」と同様、障害物を事前に感知する役割があります。
目と耳を障害物から守る「眉上毛」
目の上に生えている長い毛が「眉上毛(びじょうもう)」です。ここに何かが触れると、猫は反射的に目を閉じます。猫は目の近くのものが見えづらいので、この毛が頭上の障害物から身を守るために役立ちます。
耳に生えている「房毛」
危険を回避するために生えている毛が多い中、耳に生えている「房毛(ふさげ)」には、少し変わった役割が。「房毛」の中でも耳の先端に少し長く生えている毛には、超音波をキャッチして音を集める働きがあります。猫の耳が良いという生態に、一役買っている毛なのです。
衝撃から身を守るための「足の毛」
肉球の間には、長い毛がびっしり生えています。この「肉球の間の毛」には、地面の熱さから皮膚を守ったり、滑り止めになったりという役割がありします。
猫はもともと、砂漠出身の動物。灼熱の暑さから皮膚を守るために、この肉球の毛が長くなったといわれているのです。
また、猫が座るときに地面に直接つく部分に生えている「踵の毛」には、踵のあたりの皮膚が地面でこすれないように保護する役割があります。
今回はふわふわな猫の毛の一部の種類を紹介しましたが、猫の毛には他にも種類があります。
これを機に、ブラッシングやマッサージで猫とスキンシップをとりながら、生えている毛の違いをぜひ観察してみてください!
参考/「ねこのきもち」特別編集 ベネッセ・ムック『体の色・模様から愛猫のことを知ってもっと仲よく!楽しく!毛柄がいっぱい!ねこのきもち』(監修:哺乳動物学者 川崎市環境影響評価審議会委員 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/nishiyuka
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。