猫は起きている時間の30~50%を、自分の体を舐める「毛づくろい」に費やしているといわれています。しかし、自分だけでなく、人やほかの猫のことを舐めている姿もよく見られますよね。
今回は、猫が「舐める」行動について解説します。
猫はなぜ自分の体を舐めて毛づくろいをするの?
猫は野生時代、自分の居場所を敵に知られないよう、毛づくろいをして体のニオイを消していたのだそう。今でも猫が毛づくろいに没頭する様子が多く見られるのは、その名残だと考えられています。
そのほかにも、猫の毛づくろいには、さまざまな理由が込められているようです。
ブラッシングして毛並みを整える
飼い主さんが撫でてあげたあと、その箇所を舐めている姿を見たことがあるかもしれませんが、これは嫌がっているわけではなく、毛の乱れを直しているだけ。舌のザラザラをブラシ代わりにして毛並みを整えているのです。
血行促進
毛づくろいには、マッサージのような効果も。体を舐めることで毛根や皮膚が刺激され、血行が促進されるのだそうです。
気持ちを落ち着かせる
猫は失敗したときなどに、焦る気持ちを毛づくろいに置き換える「転移行動」を取ることによって、気持ちを落ち着かせることがあります。
体温調節
毛にフワッと空気を含ませることによって断熱効果を高めたり、逆に毛についた唾液の気化熱を利用して体温を下げたりします。
ビタミンの補給
体に日光が当たってできる「ビタミンD」を、被毛を舐めることによって摂取できるという説もあるようです。
人の手や顔を舐める理由は?
猫が舐めるのは信頼できる相手だけです。猫が人の手や顔などを舐めるときは、親愛の気持ちのあらわれで、舐めることで「好きだよ」という気持ちを伝えているのかも。
そのほかの理由として、「もっと撫でて」「早く起きて」という欲求を示していたり、自分のニオイを飼い主さんにつけて安心しようとしていたりする場合もあります。
ほかの猫を舐めるのは愛情表現?
ほかの猫を舐めるのは、人の場合と同じで親愛の気持ちをあらわす行動です。自分のニオイを相手につけたり、仲間同士で舐め合いニオイを交換することによって絆を深めたりします。この行動は、母猫・子猫・きょうだい猫など、仲の良い猫同士でしか見られません。母猫が子猫を舐めるときは、お世話の意味で舐めている場合もあります。
猫が「舐める」行動はさまざまですが、愛猫に手や顔を舐められるのは、飼い主さんが信頼されている証拠といえます。コミュニケーションを大事にして、これからもよい関係を築いていけるといいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年2月号『よくする行動の謎にせまる! 猫を解き明かす5つのN』(監修:哺乳動物学者 川崎市環境影響評価審議会委員 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/AzusaS
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。