猫が好き
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「猫のためにできること」をしたいと願った 刺繍作家が手がける「猫の出身がわかるエンブレム」制作秘話
そこで今回は、シジミちゃんとの出会いやajicoさんの新たな挑戦についてご紹介します。
迷い猫が産んだ子猫・シジミちゃんと家族に
とても痩せていて、警戒している様子の猫のことを、お母さんはしばらく見守っていたそうですが、だんだんと懐いてきてくれた頃に、その迷い猫は「母猫」でお腹のなかに子どもがいるということがわかったのでした。
「シジミちゃんの性格は、普段はそっけないフリをしているけど、じつはあまえっ子。こちらから遊びに誘ってもつれないことが多いのですが、私の後を付いてきたり、私の姿が見えないと探しにきたりしてくれます。
作品を制作しているときもそばにいて、刺繍ミシンの横に置いてある猫ベッドで気持ちよさそうに寝ています」
シジミちゃんと出会い、さまざまなことを考えるように
「その猫を探している人は当時、遠くから車で来ていて、コンビニに寄った際に猫が逃げてしまったそうです。その猫が、私の母が保護した猫とは限りませんが、もしそうだとしたら、飼い猫だったのに知らない土地をさまよっていたことになります。
飼い主と離れ、食べ物を探すのにも苦労し、その間にも妊娠しお腹には子どもがいて…母に保護されるまで、どんなに大変な暮らしをしていたのかと思います。
なぜ車から逃げてしまったのか? キャリーケースにきちんと入れていたのか? なぜ避妊手術をしていなかったのか?…考えさせられることはたくさんあります。もとの飼い主さんもきっと心配で心配で、あのときどうして…と悔やんでいるでしょう」
いち猫刺繍作家として、猫のためにできることは
そして、「私の刺繍作品も、猫や猫のために活動している人の役に立てるのではないか」と思うようになったといいます。
「野良猫、地域猫などの野外で暮らす猫たちのこと、猫の繁殖や流通に関すること、飼い猫の飼育環境…猫を取り巻く環境にはさまざまな問題があります。でも、それぞれの問題について詳細に語れるほどの経験や知識も私にはありませんし、いち猫刺繍作家として届けられるメッセージには限界があります。
猫を愛する方の活動や、飼い主さんの声を広く伝えるにはどうしたらいいだろうと思案した結果、飼い主さん自身に語ってもらうのが一番効果があるのではないかと閃きました」
猫の出身がわかる「猫のエンブレム」を制作
そして、猫の出身がわかる「猫のエンブレム」を制作することにしたのです。
「エンブレムには猫の顔と名前、そしてもうひとフレーズ入れることができるのですが、ここに『出身』を入れようと考えました。『出身』としたのは、猫との出会いには特に格別のエピソードがあるのではないか、と思うからです。飼い主さんたちが話をするきっかけになりやすいのではないか、と思ったんですよね」
クラウドファンディングの期間は11月3日(火)までですが、期間終了後は通常価格で一般販売する予定だそうです。
「みんなで猫について話すことで、社会全体の意識が変わっていきます。猫の名前と出身入りのエンブレムをきっかけに、愛猫の話をしてください。SNSでも、あらためて猫との出会いのことを書いてみてください。猫と人間が幸せに暮らせる世の中を作るのは、猫が大好きな私たちです」
▼猫の刺繍マスクの紹介記事はこちら
取材・文/雨宮カイ
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