猫が「吐く」ことは比較的多いけど…
猫が吐くことは比較的よくありますが、病気・トラブルが原因の場合にはすぐに獣医さんの診察を受ける必要があります。また、症状がひどくなれば命にもかかわることも…。いざというときに適切に対応するためには、どんな病気・トラブルで猫が吐くのかあらかじめ知っておかなければなりません。そこで、実際に猫が吐いたときにあわてないために、「吐く」が主な症状の病気・トラブルをご紹介します。
① 誤飲・誤食
獣医さんによると、嘔吐で来院する猫の「4割」が誤飲・誤食によるものだそうです。その中でも断トツに多いのは紐類。獲物と間違えたり、遊んでいるうちに誤って飲み込んでしまうようです。吐いて異物を吐き出すことができない場合、胃腸内で絡まって臓器の炎症や壊死など恐ろしい病気につながります。
また、紐類の誤飲では、異物がよじれて絡まり、腸が蛇腹状になります。これを通称「アコーディオンサイン」といいます。こうなってしまうと、自力での排出はできなくなり開腹手術が必要となります。
猫が誤飲・誤食をしないよう、飲みこめそうな小さなものや紐状のものには普段から注意しましょう。
② 毛球症
毛球症(もうきゅうしょう)は、毛づくろいをした時に飲みこんだ毛が吐きだせないくらいの大きな塊になってしまう病気です。食欲や消化機能が低下することによって嘔吐してしまうことがあります。
長毛種に多くみられる病気ですが、多頭飼いでほかの猫の毛づくろいを頻繁にする猫もなりやすいので注意が必要です。誤飲・誤食の時と同じく、症状が重い場合には開腹手術が必要となります。
③ 寄生虫症
子猫や元外飼いの猫に比較的多いのが寄生虫症です。寄生虫症の中でも嘔吐の主な原因になるのが回虫や条虫で、嘔吐物の中には体内で育った紐状の虫や小さな卵が含まれている場合があります。治療は内服薬などの駆虫剤で行います。
また、下痢を伴うこともありますので、嘔吐物と合わせてトイレのチェックも行いましょう。
④ 甲状腺機能亢進症
シニア猫が嘔吐した場合に疑われるのが、甲状腺機能亢進症です。この病気はのど元にある甲状腺からホルモンが過剰に分泌されて代謝が上がるために、活発になったり痩せたりします。
シニア猫に発症が多く、獣医師さんによるとこの病気で来院するシニア猫の約半数に嘔吐の症状がみられる印象だそうです。また、この病気は心拍数も上がるため、心臓病を併発する恐れもあります。
嘔吐の症状と同時に、体重や運動量の変化にも注意したいですね。
そのほかの病気とトラブル
ご紹介した病気・トラブル以外にも以下のような病気・トラブルが原因で嘔吐することがあります。
・食物アレルギー・中毒
・悪性リンパ腫
・尿毒症
・膵炎
・便秘
・ストレス
今回ご紹介した病気・トラブルは、手遅れになると命の危険があるものも多く含まれます。また、手術を伴うような治療は猫にとって大きな負担です。猫が吐いたときには、状態をよく見て、普段と違う点や気になる点があれば、すぐに獣医さんに相談してください。
出典/「ねこのきもち」2016年2月号『ねこの「吐く」大全』(監修:王子ペットクリニック 獣医師重本 仁先生)
文/clochette417
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。