動物病院などで耳にすることも多い「療法食」。どのようなフードなのか。種類や選び方、正しい購入方法など…知っているようで知らない療法食について「ねこのきもち」獣医師相談室の獣医師に聞いてみました!
ねこのきもち獣医師相談室って?
ねこのきもちには、読者の相談事に獣医師がお答えする会員限定のサービスがあります。この記事では、ふだんからフード・おやつなど食事に関するアドバイスをしている相談室の先生が答えます。
Q療法食とは?
A 特定の疾患や健康状態にある猫に対して、食事療法を目的に利用するフードです
療法食は、特定の疾患や健康状態にある猫のために、栄養管理を目的として与えられるフードです。一般的なフード(総合栄養食)は、健康な猫が必要とする栄養素をバランスよく含んでいます。一方、療法食は食事療法の一環として、猫の病状や健康状態に応じた栄養素の量やバランスが調整されているため、獣医師の指導のもとで与えることが重要です。
Qどこで買うことができますか?
A 獣医師の指導のもと動物病院をはじめメーカーの公式通販など
療法食は、必ず獣医師の指導に従って与える必要があります。そのため、受診の際に動物病院で購入するのが基本ですが、獣医師の指示と了承があれば、メーカーの公式通販などでも購入が可能です。詳細は各メーカーの公式サイトでご確認ください。
Qどうやって選べばいいのですか?
A 愛猫の健康状態に合わせて獣医師が判断します
療法食は、病気の予防ではなく、栄養管理を目的として与えるものなので、獣医師のすすめに従ってください。また、愛猫が無理なく食べ続けられることが大切です。食いつきや排泄の状態を確認し、目的に合った種類をかかりつけの獣医師が判断します。
Qどれくらいの期間与えるべきですか?
A 自己判断をせず獣医師に確認を
決められた期間はありませんが、愛猫の健康状態や治療の経過を見ながら、獣医師が判断します。もちろん、おおまかな目安など気になることがあれば、かかりつけ医に相談してください。
Qどんな種類がありますか?
A 病気や健康状態に合わせたさまざまな種類があります
腎臓病、尿路疾患、消化器疾患など、猫がかかりやすい病気に対応したさまざまな療法食があります。また、食物アレルギーや肥満、糖尿病の管理に合わせたものも。いずれも、それぞれの健康状態に合わせて栄養素の種類やバランスが調整されています。
腎臓をケアする療法食
低タンパク質・低リンで腎臓への負担を軽減し、毒素の蓄積を抑制。ナトリウムの調整もされています。また、腎臓の健康維持にいいとされるオメガ3脂肪酸を配合したものも。
ヒルズ プリスクリプション・ ダイエット 〈猫用〉 k/d チキン ドライ
ヒルズ独自のプレバイオティクス繊維ブレンドで腸由来の尿毒素を管理し、リンやナトリウムなどの調整で腎臓病の愛猫の生活の質(QOL)の向上に貢献することが科学的に証明
【問い合わせ先】ヒルズお客様相談室(プリスクリプション・ダイエット)☎0120・211・323
ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット NF 腎臓ケア 初期ステージ対応
慢性腎臓病の初期ステージ(IRISステージ分類Ⅰ・Ⅱ)に配慮した低リン・中等度タンパク質設計。また、EPAやDHAを含むオメガ3脂肪酸を配合
【問い合わせ先】ネスレ ピュリナ ペットケアお客様相談室☎0120・262・333
マルカン ベッツウェル 腎臓ケア
慢性腎臓病の食事療法用として、リンとタンパク質の含有量を調整し、消化性の高いタンパク質を採用。さらに、オメガ3脂肪酸のEPAやDHAを配合して、腎臓の健康維持に配慮
【問い合わせ先】マルカン VetsWellサポートセンター ☎050・4560・1460
下部尿路をケアする療法食
代表的な結石であるストルバイトやシュウ酸カルシウム結石の形成を抑えるために、ミネラルを制限し尿のpHを調整します。
ヒルズ プリスクリプション・ ダイエット 〈猫用〉 c/d マルチケア コンフォート チキン ドライ
ミネラルと尿pHバランスに配慮し、尿路結石の形成抑制をサポート。加水分解ミルクプロテインとトリプトファンを配合し、ストレス性をはじめとした一般的な下部尿路疾患のリスク要因を管理
【問い合わせ先】 ヒルズお客様相談室(プリスクリプション・ダイエット)☎0120・211・323
ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット UR 下部尿路ケア
下部尿路疾患に配慮し、適切な尿pHになるようミネラルバランスを調整。また、飲水量と尿量を増加させるミネラル配合で、尿の状態を適切に保ちます
【問い合わせ先】ネスレ ピュリナ ペットケアお客様相談室☎0120・262・333
ペットライン ドクターズケア 猫用尿石ケア
ストルバイト尿石症およびシュウ酸カルシウム尿石症用療法食。尿石の形成に配慮してミネラルやアミノ酸を調整。また、栄養素も調整し健康的な尿量を確保
【問い合わせ先】ペットライン ドクターズ&JPスタイル ダイエティクス☎0120・525・235
消化器をケアする療法食
消化率の高い成分を配合して胃酸を抑制し、食物繊維を多く含むことで排泄をサポートするなど、消化器への負担を軽減することを目的としています。
ヒルズ プリスクリプション・ ダイエット 〈猫用〉 腸内バイオーム ドライ
ヒルズ独自の繊維ブレンドにより、最短24時間で健康で規則的な排便をサポートし、軟便の再発リスクを低減することが科学的に証明されています
【問い合わせ先】 ヒルズお客様相談室(プリスクリプション・ダイエット)☎0120・211・323
マルカン ベッツウェル 消化器ケア
消化性の高い原材料を使用。また、可溶性繊維が豊富なサイリウム、フラクトオリゴ糖を含むチコリを配合することで便秘に配慮。健康的な消化機能の維持をサポート
【問い合わせ先】マルカン VetsWellサポートセンター ☎050・4560・1460
ペットライン ドクターズケア 猫用ストマックケア
消化器疾患に配慮して、可溶性食物繊維を配合かつ脂質含有量を調整。また、ミネラル・アミノ酸のバランスを調整して、弱酸性尿となるように設計
【問い合わせ先】ペットライン ドクターズ&JPスタイル ダイエティクス☎0120・525・235
解説/ねこのきもち獣医師相談室
参考/「ねこのきもち」2024年12月号『"気になるあのフード"の疑問、獣医師が答えます! 療法食Q&A』
文/ねこのきもち編集室