猫が安全に暮らすためには、猫にとって危険なものについて知り、触れさせないようにすることが大切です。そこで今回は、猫が口にしてはいけないものについて、獣医師の椎木亜都子先生に詳しく教えていただきました。
猫に有害な植物
人が室内に飾る花や観葉植物のなかには、猫にとって有害なものも。とくに危険とされているのが、ユリやチューリップをはじめとする「ユリ科」の植物。花・葉・茎・球根すべてに毒性があり、万が一猫が口にすると、急性腎障害を引き起こして死に至るケースもあります。
ほかにも有害な植物は多岐にわたり、見分けが難しいものもあります。猫がいる部屋には、植物を飾らないようにしましょう。
とくにリスクが高い植物
- ユリ科(ユリ、チューリップなど)
- ツツジ科(ツツジ、サツキ、シャクナゲなど)
- ヒガンバナ科(彼岸花、水仙など)
- サトイモ科(ポトス、カラジューム、菖蒲、モンステラなど)
●その他●
ポインセチア、アジサイ、スズラン、ヒヤシンス、ホオズキ、クリスマスローズ、アイビー、アロエなど
猫に有害な食べ物・飲み物
人の食べ物・飲み物は塩分や糖分、脂肪分が高いものやアクが強いものが多く、猫の健康を害するため基本的には与えないようにしましょう。以下に挙げるものは一口だけでも危険なので、絶対に与えないよう注意してください。
玉ねぎ・ネギ・ニンニク・ニラ
猫が口にすると、貧血や血尿などの中毒症状を引き起こします。これらを含む煮汁をなめることもNGです。
生のイカ・タコ・エビ・カニ
これらに含まれる酵素がビタミンB1を分解し、欠乏症を引き起こすと食欲不振やふらつき、麻痺などの症状があらわれて、命の危険があります。
チョコレート
原料であるカカオに含まれている成分が、嘔吐、下痢、震えといった中毒症状の原因に。カカオが含まれるココアなども同様です。
カフェインを含むもの
猫がコーヒーや紅茶を摂取すると、嘔吐や下痢のほか、心臓や神経系に異常をきたすことも。茶葉は飲料よりもさらに危険です。
アルコール
猫の肝臓にはアルコールを分解する酵素がなく、有害な状態のまま体内に残ります。このため、酩酊状態になるほか、最悪の場合は死に至ることも。
キシリトールガム
キシリトールは猫の体内でインスリンの過剰分泌を引き起こし、低血糖や肝臓障害の原因となることも。歯磨き粉などにも注意して。
誤食すると危険なもの
食べ物以外に、思いがけないものを口にしてしまうこともある猫。ものによっては中毒症状を引き起こすほか、消化器に詰まったり刺さったりして開腹手術が必要になるケースや、命を落とす危険性も。猫が口にするとリスクがあるものは、すぐにしまう習慣をつけましょう。
針・画鋲
誤って飲み込むと、消化管に刺さるなどして緊急の開腹手術が必要になることも。鋭利なものは放置しないようとくに注意してください。
タバコ
少量でも、嘔吐や下痢などニコチン中毒の症状を引き起こすことがあります。猫が届く場所にはタバコや灰皿を置かないで。
人の薬
解熱・鎮痛剤に含まれるアセトアミノフェンは、少量でも猫が命を落とすおそれが。サプリメントも、成分によっては猫に有害なものがあります。
保冷剤
猫が摂取すると腎不全や神経症状を引き起こす、エチレングリコールという中毒物質が含まれている場合があります。
ひも状のもの
ひもが腸に絡まり、腸閉塞や腸穿孔を引き起こすリスクが。腸閉塞を起こして時間が経つと、腸が広範囲に壊死してしまうこともあります。
育毛効果のある薬剤
育毛・発毛効果をうたうミノキシジルという成分は、猫が一滴でもなめると致死性や重度の副作用があります。使用した人の枕に猫が触れるだけでも危険なので、成分表示をよくチェックしましょう。
家の中は猫にとって有害なものであふれています。愛猫の命を守るために、猫が口にしてはいけないものを把握しておきましょう。
お話を伺った先生/椎木亜都子先生(獣医師)
参考/「ねこのきもち」2025年11月号『暮らしやお世話でとくにやってはいけないこと、まとめました。猫にご法度12ヵ条』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。