群馬県前橋市で保護猫シェルターやスペイクリニックを運営する一般財団法人犬猫生活福祉財団。
「収容ゼロ・殺処分ゼロ・不適切飼育環境ゼロ」を目指した取り組みの様子を紹介します。
*記事内容はすべて、2023年5月30日現在のものです。
ショッピングパーク内に2カ所目の施設を開所
群馬県前橋市郊外にある「犬猫タウン前橋」は一般財団法人犬猫生活福祉財団(以下財団)が2022年1月開所の前橋市初の本格的な犬猫用シェルター。保健所や動物愛護センターから引き出した犬や猫たちが暮らしています。今年4月26日には、2番目のシェルター「犬猫タウン吉岡」が、前橋市に隣接する吉岡町の商業施設ジョイホンパーク吉岡の中にオープンしました。商業施設の中に保護猫の譲渡を目的にしたシェルターが常設されたことで、オープン以来多くの人たちから応援の声が届いているそうです。「スペースが限られているため、常時いる猫は6〜7匹。買い物の際、シェルターを目にすることで保護猫について知るきっかけになっているようです」。犬猫タウン前橋と吉岡では、開所してから135匹を受け入れ、譲渡が決まった猫が77匹(2023年7月13日現在)。
去勢・避妊手術を専門に行うスペイクリニックも運営
「犬猫タウン前橋」は、スペイクリニック(去勢・避妊手術専門の病院)「犬猫タウン前橋病院」本院と、ワゴン車の移動式スペイクリニックを運営しています(開院日はホームページに記載。予約制)。病院には、地域でTNR(ノラ猫を捕獲し不妊手術を施し、元の場所に戻すこと)活動をしている方などからノラ猫を捕獲、あるいは捕獲予定がある場合などに予約が入り、すでに870匹以上の手術を実施しました。遠方などでの緊急時や車で出向かないとケアや手術ができない場合には、移動式スペイクリニックが出動します。シェルターにいる多頭飼育崩壊の猫たちも、この車で救出に向かったそうです。
福田敬士さんは、財団の立ち上げメンバーのひとり。前職で猫の保護活動を行う団体と関わった際、コロナ禍の影響もあり、日々の保護活動の継続や運営が困難となる団体を目にしました。飼い主のいない猫たちを救いたいという思いは強くても、人材難や資金難で立ち行かなくなる団体を見て「ノラ猫の保護だけでなく、そういった団体の運営も手助けできたら」と考えたそうです。
保護猫・保護犬の譲渡などの活動をしている団体向けのボランティア募集情報サイト「犬猫ワークス」の運営も行っています。「パソコンが苦手な団体も多い。でもネットでないと、情報が若い世代には届かないこともあります。私たちはそんな団体も応援したくて簡単に操作できるこのサイトをつくりました」。トライアンドエラーを繰り返しながらも、「収容ゼロ・殺処分ゼロ・不適切飼育環境ゼロ」を目指す活動を広げようと日々取り組んでいます。
お話しをお伺いした人/犬猫生活福祉財団事務局長の福田敬土さん
出典/「ねこのきもち」2023年10月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら 写真提供/犬猫生活福祉財団
構成/小出広子
※この記事で使用している画像は2023年10月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。