人の手ほどに重要な部位といわれている猫の舌。そんな猫の舌について、哺乳類学者である今泉忠明先生に詳しく教えていただきました。生きていくうえでとても大切な猫の舌についてしっかり知っておきましょう。
生きていくために舌は不可欠
子猫のときには舌を使ってお乳を吸い、成長後も食べ物や水を口内に運ぶために舌を使っています。猫は食べ物を丸飲みする動物なので、飲み込むときの補助のためにも、猫の舌の筋肉はとても発達しているのです。
また、雑食である人と比較すると感じる味の種類は少ないですが、肉食にとって大切な酸味と苦みに敏感な構造をしています。
もし、猫に舌がなかった場合は、食べ物を口に含むことはできるかもしれませんが、毒に気づくこともできず、水を飲んだり食べ物を飲み込んだりすることもできないため、死んでしまうかもしれません。
身だしなみを整える
猫は舌にある「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」というトゲを活用して、毛づくろいをしています。このトゲのおかげで、被毛に付いた汚れや抜け毛を取り除き、さらには唾液の殺菌効果により、臭わないきれいな体を保つことができるのです。
猫に舌がないと、毛づくろいで体臭を消すことができないので、野生時代には敵に頻繁に襲われ、すでに絶滅していたかもしれません。
舌を使って気持ちを伝えている
猫は自分の体以外にも、子猫や同居猫、ときには飼い主さんなど親しい相手のことを「ニオイの交換」という意味でなめることがあります。さらに、舌を使って鳴いたりのどをゴロゴロと鳴らしたりするなど、音で気持ちを伝えることも。
猫の発情はメスの鳴き声から始まりますが、もし舌がなければ鳴けないので、繁殖の機会を得ることができません。繁殖ができたとしても、子猫は母猫に鳴いて危険を伝えることができず、生き残ることが難しかったかもしれません。
猫の舌は猫が生きていくうえで、とても大切な役割をもっていることがわかりました。大切なパーツだからこそ、舌の健康についても気をつけて見てあげたいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年7月号『健康をつかさどる最重要パーツ!? 今すぐ猫舌チェックしてみよう』(監修:哺乳類学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/hare
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。