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「ねこむら返り」「つやぷるのまるこ」「ろうなぬし」の3つのお話。ねこばなしvol.10【連載】渋ネコししまるさん#190

『ねこむら返り』

 寒い日は“ねこむら返り“にご注意あれ。
 ある日のこと。僕がうつ伏せで寝ていると、ししまるが背中に乗ってきて、僕の尻に顎を乗せて眠ってしまった。僕もそのまま寝ていたら、足の痛みで目が覚めた。ししまるの重さで、こむら返りが起きたのだ。
 僕は冬場によく足がつるのだが、それは妖怪ししまるの仕業なのかもしれない。

『つやぷるのまるこ』

 まるこが机に飛び乗りキーボードの上に座った。キーがツボ押しにでもなるのか、気持ちよさそうだ。そんな彼女を眺めていると、いつもと雰囲気が違うことに気がついた。とてもキラキラして見えたのだ。僕はまるこの顔を見て、なるほどと思った。水をがぶ飲みしたのだろう、口元がグロスを塗ったようになっていた。
 つやぷるのまるこも可愛かったが、座っている場所を考えると、キーボードに垂れやしないかとヒヤヒヤした。

『ろうなぬし』

 ある日、畳んだマットの上に座るししまるを見て妻が言った。
「“ろうなぬし“みたいだね」
 僕は意味はわからなかったが、「そうだね」と返事をした。その数日後、家に遊びにきた義姉が、ししまるを見て妻と盛り上がっていた。どうやらまた“ろうなぬし”の話だった。僕は先日適当に返事したことを謝罪し教えを乞うと、“ろうなぬし”は牢名主と書くことを教えてくれた。牢名主は、江戸時代、囚人の長として牢内を仕切っていた人のことだそうだ。そう言われると、ししまるがマットに乗る姿は、重ねた畳の上で偉そうに座る牢名主に見えてきた。
 その日のししまるは、時代劇好きな姉妹によって、一日牢名主になった。そして僕は牢名主の元で世話をする一日囚人となった。

Taco(たこ)プロフィール

東京在住の漫画家・イラストレーター・キャラクタデザイナー。びゅうたびライターとしても活動中。
「ちいさな猫を召喚できたなら」「3匹のちいさな猫を召喚できたなら」「ぷっちねこ。」(徳間書店)など、好評発売中。「ちいさな猫を召喚できたなら」は重版後、中国版・韓国版・インドネシア版も発売。
現在、Web上では不定期に新作漫画を更新中。詳しくは以下のSNSへ。
・Instagram
 Tacoのインスタ: @tacos_cat
 ししまるのインスタ: @emonemon
・Twitter@taco_emonemon
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