猫って笑わない!? 怒った顔はわかっても笑顔がどんな顔かイメージしにくいかもしれません。でも皆さんの想像している笑顔とはちょっと違うだけで、猫には猫なりの笑顔といえる表情があるようです。そうは見えないけど心はニッコニコ……それはどんな顔なのか、「ざんねんないきもの」シリーズでもおなじみの猫の専門家・今泉忠明先生にうかがいました。
「無表情」こそ笑顔といえる!?
野生時代、単独行動で狩りを行っていた名残で警戒心も強い猫。群れで行動し、相手に表情で気持ちを伝える犬に比べると、猫は表情が乏しいといわれることも。「警戒心の強い猫にとって落ち着ける環境で過ごせることは、まさに幸せなこと。そこで見せる表情は一見無表情で、人の思う笑顔とは遠いかもしれません。しかし、無駄な力が入っていない、平穏な気持ちのときに見せるその顔は、猫にとっての『笑顔』といっても過言ではないでしょう」(今泉先生)。
さらに! 人との暮らしで「笑顔」が増えた!?
飼い猫は、食事や遊びのお世話をしてくれる飼い主さんや、住み慣れた環境への安心感から「リラックス」「甘え気分」「興奮」「満足」という気持ちを抱きやすい傾向に。そのため信頼する相手には、下のような「笑顔」を見せることがあります。以下の顔のパーツの変化が多く当てはまるほど、いい「笑顔」といえるでしょう。
「るんるん笑顔」はこんな顔
耳…興味の対象に向けたりピンと張ることが
目…大きく見開く
鼻…ピンクになることも
口元…キュッと力が入ったり、舌なめずりしたりすることも
ヒゲ…少し前に向く
興奮しているとき
「うれしい」「楽しい」などポジティブな気持ちで、顔に力が入った状態の笑顔。何かに期待して集中しているときなどに見せることが
満足しているとき
上記の興奮に対する欲求が満たされた状態のときに見られます。興奮時に比べると、表情にも少し落ち着きが見られることが
「うっとり笑顔」はこんな顔
目…少し細める
耳…力が抜けて左右に傾く
ヒゲ…ゆったり垂れている
口元…少し開くことがある
リラックスしているとき
心を許した人や環境に対して見せる笑顔です。無表情のときよりも、さらに顔の力が抜け、ゆるんだような表情になることがあります
甘えたいとき
子猫が母猫に甘えるような気分のときに見せます。おもに飼い主さんへの親愛があふれたときに見せることが多いでしょう。
いかがでしたか? 「うっとり笑顔」は目が細くなるので人の笑顔に似ていますね。猫の笑顔が見られるシーンは飼い主さんの関わり方でも増やせそうです。「るんるん」と「うっとり」が増やせるように遊び方や猫の生活環境を整えたいですね。
参考/「ねこのきもち」2021年9月号『いつも見せるあの顔は猫の笑顔でした♡』(監修 哺乳動物学者 今泉忠明先生)
写真/Cynthia Moon 、尾﨑たまき
文/ハナマサ
※この記事で使用している画像は2021年9月号『いつも見せるあの顔は猫の笑顔でした♡』に掲載しているものです。