猫と暮らす
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繁殖や実験で傷ついた猫たちの保護施設「ラフスペース」の活動とは
※記事内容は2022年4月10日現在のものです。
出会いの場でもあるオープン型シェルター
「ただ、一般的な猫カフェではなくオープン型のシェルター(保護施設)です。訪ねてくださる方々が私たちの活動を知り、猫たちと出会い、気持ちを寄せてくれる場として活用していただけると嬉しいです」と代表の根本さん。
2016年にオープンしたラフスペースは、埼玉県ふじみ野市のNPO法人ペット里親会の協力のもと、根本さんが個人で開設しました。自宅からも職場からもすぐ近くでという条件で物件を探し、ペット里親会がレスキューした保護猫たちの生活の場にしたのです。
現在は、「何かお手伝いしたい」と声をかけてくれる方々が増え、20名ほどの仲間がそれぞれの得意分野を生かしながら運営に関わっています。ラフスペースには常時20~25匹ほどの猫たちが飼い主さんを待ちながら暮らし、毎月10匹ほどの猫たちが新しい飼い主さんの元へと迎えられていきます。
人間の都合で苦労を強いられてきた猫たち
ペット里親会でレスキューするのは、繁殖ブリーダーや多頭飼育者から飼育放棄された犬・猫、動物実験に使われていた猫たちです。
そこからボランティアに通う日々が続き、しばらくしてより深く猫の保護活動に関わろうと決心した出来事がありました。ペット里親会が治験に使われていた猫たちをレスキューしたのです。鼻やのどの風邪薬を開発するために使われていた猫たちでした。ウイルスに感染して体も心もボロボロの猫たちでしたが、対面したときに、根本さんは思いがけず新しい感情が生まれたそう。
「保護猫はかわいそうな猫と思って接していたのですが、治験の現場から救い上げられた猫は幸運なコだと思えた。つらい環境をも生き延びた強いコだと。そんな猫たちに出会えて、私自身が幸せだなあと強く感じました」この心境の変化が、自分の暮らす地域に保護猫施設を立ち上げる、根本さんの原動力になったのです。
出典/「ねこのきもち」2022年6月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら
構成/犬神マツコ
※この記事で使用している画像は2022年6月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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