猫の気持ちは表情にも現れます。大きく開いたり、細めたりしている目も例外ではありません。猫がふだん見せる5つの目の表情から、そのとき感じている気持ちを動物看護師の小野寺温先生に教えてもらいました。
1. 目を細める
猫が「落ち着くな~」という気持ちを感じているときは、目を細めて瞳孔もほっそりしています。猫は安心した気持ちでリラックスすると、どのパーツにも無駄な力が入らず、自然な状態になるのです。そのためトロンとした、眠そうな印象になるでしょう。
目のほかにはヒゲが自然に垂れ、口がうっすら開いていることも。耳は自然に立ち、少し左右に開くこともあるようです。
2. 目を閉じる
猫が目を閉じるのは、「好きだよ」という気持ちのあらわれです。目が合ったときや名前を呼ばれたときに、まばたきのようなしぐさをすることがありますが、これは猫にとってのあいさつのようなもの。親愛の意味が込められています。
このとき人も同じように目を閉じると、猫をより安心させることができるでしょう。
3. カッと見開く
猫はワクワクする気持ちを感じると目を見開きます。「うれしい」「楽しい」「大好き」のようなポジティブな感情が高まったとき、顔全体に力が入ります。
そのため目のほかに耳をピンと立て、ヒゲがぐっと前を向き、口元が膨らむことも。まるで興味対象の相手に手を伸ばすように、それぞれのパーツが前を向いた印象になるでしょう。
驚いたときとの違い
猫は突然大きな音がしたり、目の前の様子が急変したりしてビックリしたときに、緊張と興奮から瞬間的に瞳孔を最大限まで開くことがあります。文字どおり目をまん丸にしているのですが、その場合は周りの安全が確認できると元に戻ります。
4. 目をそらす
猫が目をそらしているときは「降参です」と訴えています。野生の猫は、猫と目を合わせることがほぼありません。それは、じっと相手を見る行為が敵意をあらわし、ケンカになってしまうからです。
飼い猫も立場が弱いときや、逆らう気持ちがないときは、目をそらしてやり過ごそうとします。
5. 目と瞳孔が開いて黒目がちになる
猫が「怒ったぞー」という気持ちになると、目と瞳孔が開いて黒目がちになります。恐怖心が高まると、怒りや拒否の気持ちから威嚇・攻撃するのです。
気持ちの強さによって、耳をこれ以上回らないほど後ろに反らせたり、牙(犬歯)を見せて「シャー」と唸ったりすることも。ヒゲにも力が入るので、前を向いて広がっているでしょう。
猫は言葉で気持ちを伝えることができませんが、目には素直な気持ちがあらわれます。猫の気持ちを知りたいときは、その目を見るといいかもしれませんね。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学助教 動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2020年12月号『見るだけで「表情」を早読み!うちのコは今イイ気分?ワルイ気分?』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。