猫が落ちそうなくらい不安定な場所で、体をひねらせ、バランスを取りながらくつろいでいる姿を見たことがありますよね。ねこのきもち投稿写真ギャラリーに寄せられた写真とともに、猫が不安定な場所でもくつろげる理由を、哺乳動物学者の今泉忠明先生に教えてもらいました。「すごい!」と絶賛したくなる、落ちそうで落ちない猫たちの写真も必見です。
猫が不安定な場所でバランスを保てる理由
猫が狭い場所の上で絶妙なバランスを保っていられるのは、優れた平衡感覚をもっているからです。動物の耳の奥には、平衡感覚をつかさどる三半規管と前庭(ぜんてい)器官がありますが、猫はほかの動物に比べてこれらの器官が発達しています。
落ちない理由は柔軟な体にもあった!
猫の体が置かれた場所によって四角くなったり、丸くなったりできるのは、骨格に特徴があるからです。人の体は約200個の骨から形成されていますが、猫の体は人より多い約240個の骨で形成されています。そのため猫は関節が多くなり、可動部が多いため、より柔軟な姿勢になれるのです。
こんな場所でリラックス!落ちそうで、落ちない猫たち
優れた柔軟性とバランス感覚を活かすことで、落ちそうな場所でも落ちずにくつろげる猫たち。実際にどんなきわどい場所でくつろいでいるのか、ねこのきもち投稿写真ギャラリーに寄せられた写真からご紹介します。
最初に絶妙なバランスを披露してくれたのは、サイベリアンのさくらくん。下半身が半分落ちているように見えますが、本人はくつろいでいるようです。
椅子と椅子の間で!
椅子の上から顔を見せてくれたのは、ミヌエットのめるちゃん。人なら落ちそうになる不安定な椅子の隙間で、涼しい顔をして休んでいます。
ソファーの背もたれで!
ソファーの背もたれにしがみつくような姿勢で眠っているのは、アメリカンカールのふじこちゃん。飼い主さんは「落ちないで寝」と呼んでいます(笑)
手すりの上で!
手すりの角で直角になって眠っているのは、メインクーンのルミエールくん。その姿を見た飼い主さんは、思わず「寝返りすると落ちるよ」と突っ込みを入れてしまいました(汗)
座ってる!?
ソファーに仰向けで横たわっているのは陸くん。ソファーから腰がずり落ちているように見えるけど、本人は落ち着いています。
人は必死にしがみつかないといられない難所でも、優れた柔軟性とバランス感覚をもつ猫にとってはふつうの場所と同じなのでしょう。落ちそうなのではなく、落ち着けそうな場所だからくつろいでいるのかもしれませんね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2020年8月号『その身を自在にだらり、ぐにゃり。やっぱり猫は、液体でした。』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。