猫と暮らす
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猫の命を救うことに理由なんてない――小学5年生の心に灯った信念
*記事内容はすべて2025年2月10日現在のものです。
心のままに前進する
近年「殺処分を減らそう」という機運が高まっている中、2022年のデータでは、全国で殺処分された1万匹弱の猫のうち6割超が離乳前の幼齢。自治体では24時間態勢のお世話が難しいため殺処分の対象になってしまうのです。そこで子猫園では、子猫が生まれる根本原因に取り組もうと、14台所有する捕獲器をフル稼働してTNR活動(「Trap(捕まえる)、Neuter(不妊手術する)、Return(元の場所に戻す)」という、繁殖を抑え、地域猫としてともに暮らすための活動)にも力を注いでいます。
赤石 朔さんが子猫園を設立したきっかけは、叔母(雪さんの妹)の付き添いで保護猫の譲渡会を訪れたこと。そのとき、保護団体の人が「病気の猫の預かりボランティアを探している」というので、2匹の猫を引き受けたそうです。さらに幼猫の殺処分の実情を聞いて、大きな衝撃を受けたといいます。
「命を救うことに理由なんてない」。子猫園が掲げている信念は、このとき生まれた言葉だそうです。当時、小学5年生だった朔さんが「自分にもできることはないか」と言い始め、雪さんは「この子の言うことは何も間違っていない」と腹をくくった……。
「活動を始めた頃は心ない言葉をかけられることも多く、少し人間不信になりました。でも、続けているうちに新しい飼い主さんとたくさんつながり、手伝ってくれるメンバーさんも増え、今は自分の心を信じて取り組んでいます」(朔さん)
「子猫園」の育て方
「ふだん全国の子猫を受け入れているわけではありませんが、朔は見て見ぬふりができず、つねに全力です。猫はみんないいコなので、何が何でも助けたいんです」
そんな朔さんが代表をつとめる子猫園では、譲渡の際の判断基準は「子猫園にいるよりも幸せになれるお家かどうか」。朔さんにとって、育てたすべての猫がかけがえのない存在で、最善のお家とつなぐことが責務だといいます。だからこそ、過去に2度開催した「保護猫たちのパネル展」のメイン展示は、"卒業した猫"が主役。
「保護活動の先にあるゴール"猫と人の幸せな今"を展示したくて、新しい飼い主さんたちに『うちの子自慢のパネル』をつくってもらいました」
そう話す朔さんは、展示のほか講演活動なども行いながら徐々に活動の認知を広め、保護猫に目を向けてくれる人を増やしていきたい、といいます。でも、活動を大きくすることは本意でないそう。
「夢は"保護活動が必要ない社会"を実現させ、いずれ子猫園を解散することなんです」(朔さん)
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