「香箱座り」や「へそ天」など、猫が何気なくするポーズにはかわいいものがたくさんありますよね。そんな猫のかわいいポーズには、猫の生態や気持ちを知るためのヒントもたくさん隠されているんですよ。
今回は、猫のかわいいポーズを4つピックアップし、そこから読み取れる猫の生態や気持ちについて、哺乳動物学者の今泉忠明先生に解説していただきました。
おなかを見せて仰向けでぐっすり「へそ天」
猫が急所であるおなかを見せて眠っているのは、完全に安心しきっている証拠です。野生でこのポーズで寝るのは天敵がいないライオンだけ。飼い猫も、敵がいないと感じているからこそ無防備な姿で寝られるのです。
前足を上げて「へそ天」していたら?
前足を上げて、完全にノーガードの状態です。とくに無防備なこのポーズは、「ばんにゃい」と呼ばれることも。なお、「へそ天」は体が空気に触れる面積を増やし、熱を発散させられる体勢なので、より体を広く開くことで熱を逃がそうとしているケースも考えられます。
体をひねって「へそ天」していたら?
「へそ天」ポーズは体のストレッチも兼ねています。体をひねって「へそ天」で寝ている場合は、ストレッチをしたまま気持ちよくなり、リラックスして寝てしまったのかもしれませんね。
くるっとまんまる「アンモニャイト」
「アンモニャイト」は、丸くなっている姿がアンモナイトの化石に似ていることから、こう呼ばれるようになりました。「へそ天」とは逆に、体の熱を外に逃がさない体勢なので、少し肌寒い日に見られやすいでしょう。また、猫が自身のニオイを感じられ、安心感を得られる効果もあります。
同居猫や飼い主さんにくっついている場合は?
同居猫や飼い主さんに体の一部をくっつけることで、安心しているのでしょう。野生の猫は単独で行動するため、ほかの猫と寝るのは子猫のときだけです。成猫になってもくっついて寝るのは、飼い猫ならではの行動ですよ。
前足を曲げて座る「香箱座り」
「工箱座り」は、香を入れる香箱に似ていることから、この呼び名になりました。両前足を折りたたんでいて急に立つことができない姿勢なので、リラックスしているときに見られます。筋肉も関節もやわらかい猫ならではの座り方ですよ。
片方の前足だけ伸ばして「工箱座り」をしていたら?
「香箱座り」をし続けて曲げていた前足を、ストレッチするために片方だけ伸ばしたのでしょう。また、「香箱座り」をしているときに目の前に気になるものがある場合は、片方だけの前足を出してちょいちょいすることも。
前足の裏を床につけて「工箱座り」をしていたら?
腰を下ろして休んではいますが、いつでも立ち上がれる体勢なのでリラックス度はやや低めといえます。「香箱座り」をしている最中に気になることがあったとき、このように前足の裏を床につけて座り直すこともあるでしょう。
完全に前足を隠して「香箱座り」をしていたら?
両前足を完全に体の下にしまい込んでいることから、一番リラックス度が高い「香箱座り」といえます。冷えやすい足を体の下に収めて、温めるためにすることも。
後ろ足を開いて人のように座る「おじさん座り」
「おじさん座り」は、おなかや股、足などを毛づくろいするとき、偶然この姿勢になったのでしょう。前かがみの姿勢が楽で、“毛づくろいしやすい”と気づいてよくするようになったのかもしれません。背中を壁や物にもたせかけて座る猫もいるようです。
猫のかわいいポーズから、今どんな気持ちなのかを読み取れば、今よりもっと絆が深まるかもしれません。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2019年4月号『どうしてするの? どんな気持ち? We Love ニャンポーズ』
文/宮田あゆみ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。