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【猫と法律】工事の騒音にすっかり猫がおびえてしまった…工事責任者や施工主に損害賠償請求できる?

タニモトハル
近所の工事が始まってから、猫が怯えるようになりました。
獣医師に相談すると「騒音によるストレスのせいでは?」とのことでした。
施工主や工事責任者らに対して損害賠償を請求することはできるでしょうか?

ペットに関する法律にくわしい、弁護士の渋谷寛先生にうかがいました。

精神的ダメージを受けた飼い主自身が被害者となれば訴えることができる

画像/iStock、Getty Images Plus
 もしも騒音が原因で人に不眠症など健康被害が生じた場合は、騒音の発生源となった場所の施工主らに対して損害賠償を請求することができます。損害賠償は金銭賠償が原則と法律で定められている(民法第417条)ので、賠償金を払う加害者(債務者)と賠償金を受け取る被害者(債権者)がともに、金銭をやりとりできる「人間」(法人を含む)であることが大前提です。

 一方、猫などのペットは法律上「物」と考えられるため、賠償金を受け取れる債権者になることはできません。そのため、今回のケースのような損害賠償請求は認められないでしょう。

 ただし、被害者が猫ではなく、飼い主自身となれば、話は別です。愛猫が騒音のストレスで健康を害し、そのことで飼い主が精神的ダメージを受けたということであれば、訴えることは可能です。
 その場合、猫が騒音のストレスで病気になったという動物病院の診断書、飼い主が自身の健康被害を治すために通った病院の診断書などで因果関係を証明する必要があります。損害賠償が認められるには、騒音が一般に我慢すべきと考えられる範囲を超えているかなどが争点になるでしょう。

知っておきたい法律

民法 第417条
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
参考/「ねこのきもち」2024年1月号『もしものときの猫の法律相談所』(監修:弁護士 渋谷 寛先生)
文/犬神マツコ
イラスト/タニモトハル

※この記事で使用しているイラストはねこのきもち2024年1月号『もしものときの猫の法律相談所』に掲載されているものです。
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