猫が何かに体をこすり付ける行動“スリスリ”は、何気なくしているように見えますが、場所やシチュエーションによって意味が異なると考えられています。今回はそのなかから、「猫が何かしてほしいことがあるときにアピールするためのスリスリ」について、愛玩動物看護師の小野寺温先生に伺いました。
お世話をねだる子猫時代の行動の名残
構ってほしい、ゴハンがほしいなど、猫は何かしてほしいことがあるときに、スリスリしてアピール(おねだり)することがあります。
これは、子猫がお世話をしてほしいときに、母猫やきょうだい猫に対してする行動の名残で、飼い主さんの体にすることもあれば、飼い主さんを意識しながらほかの場所にすることも。
願いに応じてもらえるとそれを記憶し、さらに頻繁にアピールするようになるでしょう。
スリスリをよくする猫とそれほどしない猫がいるのはなぜ?
活動的なタイプはよくスリスリし、物静かなタイプはあまりしないなど、猫が生まれもった性格による個体差が大きいでしょう。また、アピールのためにスリスリする猫は飼い主さんの前ですることが多く、目につきやすいことから、飼い主さんは「よくスリスリする猫」と感じるのでしょう。
家族のなかで決まった人にだけスリスリする理由は?
決まった人によくスリスリするのは、アピール(おねだり)の意味が強いでしょう。その人にアピールすれば願いを叶えてもらえる可能性が高いことを、経験から知っているのかもしれません。厳しい人よりも、おやつをくれるような甘い人にすることが多いでしょう。
成猫になってスリスリをあまりしなくなったのはなぜ?
子猫期は本能的にスリスリをし、それが母猫への「お世話をして」というアピールになります。この延長で、子猫期に近い時期ほど頻繁にスリスリする傾向が。また、若く活動性が高いうちは興奮してすることも多いですが、加齢とともに落ち着いていきます。
猫が何かをアピールするためのスリスリは、子猫期の行動の名残のようです。日常的に見かける愛猫のスリスリも、その理由を知ることで気持ちを理解するのに役立つかもしれませんね。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2024年3月号『理由ごとにキモチを解説! 猫の王道しぐさ スリスリ3』
文/小林けい
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。