猫とのスキンシップは、互いに心を通わせ合うコミュニケーション。スキンシップで心地よさを感じさせてあげることで、猫は飼い主さんのことがもっと大好きになり、絆もより深まるでしょう。
そこで今回は、ペットのボディケアの専門家でもある獣医師の中桐由貴先生に、猫が心地よくなるスキンシップのコツを教えていただきました。
まずは猫が触られてうれしい・イヤな部位を知ろう
一般的に、猫が自ら毛づくろいしにくい顔まわり~背中は、触られて心地よい部位とされ、おなか側は触られるのが苦手な猫も多く、好き嫌いが分かれる部位といわれています。猫によってはその限りではないので、愛猫の好みを探ってみましょう。
猫が触られてうれしい部位
【顔まわり・胸】
スキンシップにおいて、猫からの人気No.1。スキンシップが苦手でなければ、大多数の猫がうっとりする部位でしょう。
【背中】
猫がまさに自ら毛づくろいできないのが背中。うっとりするほどではないかもしれませんが、心地よさを感じやすく、触られるのが苦手な猫でも受け入れやすい部位でしょう。
猫が触られてイヤな部位
【しっぽ】
しっぽには神経が集中しているため、とても敏感でデリケート。つい触りたくなりますが、心地よい部分ではないので、むやみに触るのはやめましょう。
好みが分かれる部位
【おなか】
猫にとっておなかは急所。容易に触らせてくれない猫が大半ですが、心を許した飼い主さんなら、好んで受け入れる場合も。
【肉球】
しっぽと同じく神経が集中している部位ですが、触れられるのが好きな猫も珍しくありません。スキンシップで触れる場合、最初は慎重に。
スキンシップは顔まわりからスタートするのがおすすめ
スキンシップは猫が一番うっとりしやすい、顔まわりからスタートするのがおすすめ。あごの下、耳まわり、頬、額など部位を変え、様子を見ながらやさしく続けていきましょう。
(1)まずは指先で
初めは指先を使ってポイントでタッチ。ニオイもかがせ、安心感を与えながらスキンシップを始めましょう。顔のさまざまな部位を1本の指先で“ちょこっとなで”しながら、愛猫のご機嫌をうかがってみてください。
(2)“面”でもタッチ
ポイントでのタッチを受け入れてくれたら、指の背や腹を使って、徐々に“面”でもタッチします。毛流れに沿って繰り返しやさしく触りましょう。
(3)触れる指を増やす
指1本で触れていたのを、2本、3本と増やしながらやさしくタッチし続けましょう。なでるだけではなく、5本指をあご下で動かして、くしゃくしゃと触るのもよいですね。
(4)触れる面積をさらに増やす
手のひらも使って、手全体で猫の顔を包み込むようになでてみましょう。飼い主さんの手の温もりも感じられて、猫は深いリラックス状態に。
(5)猫からすりつけてきた部分を触る
猫がうっとりしてきたら、なでてほしいところを飼い主さんの手にすりつけてくることも。それに応じてなでてあげると、猫は「そこそこ」とご満悦になるでしょう。
部位別に見る! 猫が心地よくなるスキンシップのコツ
では、猫が心地よくなるスキンシップのコツを、部位別に見ていきましょう。愛猫が好きな部位のほか、これまであまり触れてこなかった部位にもタッチして、スキンシップのバリエーションを増やすのもおすすめです。
背中
背中は、手のひら全体を使って長いストロークでなでがちですが、猫同士の毛づくろいに倣ってちょっとずつ刺激するのもよい方法。指でトントンと細かくタッチしてみましょう。
お尻
しっぽの付け根には神経が集中していることもあり、「お尻トントン」は多くの猫に人気。触る場合は強く刺激しないようにやさしくタッチしましょう。
ちょいちょいと触れるのも○
軽くかくように、ちょいちょいと触れるのもおすすめです。
後頭部
皮膚を指でつまんで軽くもむと、頭皮のストレッチ効果があり、猫は気持ちよくなります。グーにした手で毛並みに沿って繰り返しなでるタッチも、喜ぶ猫が多いです。
首の後ろ
頭を支えている首まわりの筋肉は、疲れやすい傾向に。親指とそれ以外の指で軽くつまみ、上下に位置を変えながらマッサージ感覚で軽くもみましょう。
スキンシップは愛猫の様子を見ながら行うのがポイント。目を細める、のどをゴロゴロ鳴らす、ヒゲが前向きに張る、口が半開きになる、あごを前に出すといった猫の「うれしいサイン」が見られる間は、できるだけ続けてあげるとよいでしょう。
お話を伺った先生/中桐由貴先生(アニマルケアサロンFLORA院長 獣医師 日本ペットマッサージ協会理事)
参考・写真/「ねこのきもち」2024年5月号『テクニックだけじゃなく、心構えも大切です スキンシップの極意』
文/長谷部サチ