一見健康そうに見える猫でも、実は病気におかされているケースが。愛猫の異変にいち早く気付き、受診することは病気の早期発見・治療につながります。
そこで今回は、愛猫の「些細な変化」が気になり受診した結果、病気が見つかったエピソードをご紹介。見つかった病気については、獣医師の重本仁先生に解説していただきました。
目の上の毛の薄さが気になり受診したら
れんくん(オス・2才)、りんちゃんの飼い主Iさんは、れんくんの目の上の毛が薄く見え、触るとカサカサとしたフケのようなものが取れたため、動物病院で診てもらったといいます。
診察の結果「猫カビ」であることが発覚
「何かの皮膚病かとは思っていましたが、猫カビと診断されました。軟膏を処方され、自宅で1日2回塗布。軽症だったので治りも早く、きょうだい猫のりんにうつさずに済みました」(飼い主Iさん)
※診断当時れんくんは生後4カ月。
重本仁先生の解説
カビの一種である皮膚糸状菌(通称:猫カビ)が、毛や皮膚に増殖して発症します。白くカサカサしたものが出るのが特徴で、母子感染が多く、特に保護猫を迎えたときは、毛や皮膚の状態をよくチェックするようにしましょう。早期に受診すれば、短期間で治るケースも。
足の指をなめているのが気になり受診したら
爪切りをした翌日、後ろ足を頻繁になめていたというRiZEちゃん(メス・3才/ロシアンブルー)。飼い主のYさんが見ると赤くなっていたので、爪切りに失敗したのかと思い動物病院で診てもらったそうです。
検査で「アレルギー性皮膚炎」が発覚
「獣医さんに『赤みの原因はおそらくアレルギーでしょう』と言われ、アレルギー検査を受けることに。その結果、カビの数値がずば抜けて高く、飲み薬が処方されました。症状がおさまったら薬は休み、再発したら飲むを繰り返して、状態は落ち着いています。私の勘違いがなければ受診が遅れていたかもしれず、よかったです」(飼い主Yさん)
※診断当時RiZEちゃんは2才。
重本仁先生の解説
アレルギー性皮膚炎とは、免疫システムの過剰反応により、皮膚が炎症を起こす病気。顔まわりを中心に、発疹や脱毛などの症状が出ます。体質による病気なので予防は難しく、日ごろから毛や皮膚の様子を観察し、早期発見につなげることが大切です。RiZEちゃんのように足先に症状が出ると、なめやすく悪化しがちなので、気付いたら即受診しましょう。
大事にならず一安心!受診したものの病気ではなかったケースも
愛猫の様子が気になって受診したものの、病気ではなかったケースも。最後にくすっと笑える飼い主さんのエピソードをご紹介します。
顔が大きいので腫瘍などの病気ではないかと受診したら……
「筋肉と脂肪でただ顔が大きいだけでした。獣医さんも今まで見てきたなかで一番大きいと。念のためエコー検査もしてくれました」
(ニャーゴくん(オス・推定5才)の飼い主Aさん)
重本仁先生の解説
骨格のほか、未去勢や去勢手術が遅かったオスの猫は、あごがしっかりするので、顔が大きいことが多いです。
好きなおやつを食べず、口内が痛いのではと受診したら……
「『おやつに飽きたのでは』と言われました。口内を診てもらって獣医さんの言葉に一安心。たしかに毛並みもよく、元気もいっぱいでした」
(くろみつくん(オス・3才)の飼い主Sさん)
重本仁先生の解説
成長で嗜好が変わることもあります。おやつでも、やわらかいものより硬いものが好きになるなど。人と同じですね。
受診したものの病気ではなかったケースもあるようですが、万一のことを考え、愛猫に気になる様子が見られたら、なるべく早く獣医師に診てもらうと安心です。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考・写真/「ねこのきもち」2024年5月号『飼い主さん、グッジョブ! 些細なことで受診したら、愛猫に病気が見つかりました。』
文/長谷部サチ
※記事と一部写真に関連性がない場合もあります。