猫と暮らす
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“ネコーディネーター”による、人と猫が共生する町づくり
*記事内容はすべて、2024年4月1日現在のものです。
生活の拠点となる猫の居場所を用意する
「空き地には、猫マンションとトイレがあります。猫マンションは大工仕事が得意な自治会役員の方があっという間に建ててくれた小屋で、猫にとって安心して過ごせる場所です。これがあれば誰かの家に侵入して雨宿りする必要もなくなりますし、自治会として地域猫に取り組んでいることを広く知らせる目印にもなりますよね。また、屋根付きのテラスが備え付けられ、ゴハンを食べる定位置になっています。トイレは、もともと空き地内に猫がよく排泄していた一画があり、そこに砂を入れ、定期的に掃除するようにしました。ゴハンの場所とトイレの場所が決まったら、以前のように歩道にウンチが落ちていたり、ごみステーションが荒らされたりといった被害はほぼなくなって、一定の効果を実感しています」
「私は人と猫が共生できる仕組みを作る"ネコーディネーター"として、各地区の活動を支援しています。どの自治会でも毎月『定例ねこ会議』を行いながら、自治会の方は責任者、もともとの"えさやりさん"はマネージャーという役割になって運営していますが、皆さん、しっかりと自覚をもって活動に取り組んでくださるようになりました」
地域猫活動を広め、長崎の魅力を高めたい
「長崎市内には、出雲町と同じような猫の課題を抱えている町がたくさんあります。出雲町はたまたま自治会長さんたちが協力的で、運よくいい方向へ進んでいますが、別の町もそうとは限りません。でも、やはり自治会が主導し、住民と連携して取り組んでいく形が理想的な地域猫活動だと思うのです。今、活動を広める手として思い描いているのは"ネコーディネーターの養成"。各町に地域猫活動をコーディネートしてくれる人がいてくれたらいいですよね」
じつは現在、長崎県は犬猫の殺処分数が全国トップクラス。外猫の数も多いため、人とトラブルが起きやすい状況です。でも、ナガノさんの活動が広がれば、長崎は地域猫活動の先進的な街になる、そんな期待が膨らみます。
「私は、猫に対する人々の意識や行動を変えるために活動していきたいと思っています。たとえば、個人で地域猫のお世話やTNRを行っている人が、自治会や住民の理解を得られずに孤立しているという話を耳にしますが、そういう方を救うためにも"仕組み"を提供したい。そのためには、まずは出雲町がモデルケースにならないといけないかもしれませんね。いずれは出雲町と隣接する長崎居留地を訪れる観光客の方々に、長崎は猫にやさしく、人と猫が穏やかに暮らす素敵な街だと思ってもらえるようになれば嬉しいです」
出典/「ねこのきもち」2024年6月号『猫のために何ができるのだろうか』
写真提供/nfs cats
取材/野中ゆみ
※この記事で使用している画像は2024年6月号『猫のために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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