愛猫の健診で、「尿検査」や「便検査」を受けたことがある飼い主さんは多いですよね。しかし、それぞれの検査で何がわかるのか、理解している人は意外と少ないもの。そこで今回は、尿検査と便検査の検査項目や、検査結果の読み解き方などについて、猫専門病院院長の山本宗伸先生に教えていただきました。
尿検査でわかること
泌尿器の病気の早期発見につながる尿検査。自宅でキットを使って採尿する場合と、動物病院で採尿する場合があります。
尿検査では「尿の濃さ」や「含有物質」を調べる
尿の性状(尿比重、尿たんぱく、尿糖、尿pHなど)の検査と、顕微鏡で観察して、細菌や尿結晶などの有無を確認する検査があります。尿糖、ケトン体、潜血、ビリルビンなどは尿中に検出されないのが正常で、検出された場合は何らかの病気が疑われます。
検査項目の見方と疑われる病気
尿比重(S.G.)
尿の濃さ。水分摂取量や腎機能の影響で変化し、高い(濃い)と脱水、おう吐・下痢、発熱、低い(薄い)と慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病が疑われます。
尿たんぱく(PRO)
尿中にたんぱく質が漏れていないかを見るもので、+だと慢性腎臓病、糸球体疾患、尿路炎症、ストレスが疑われます。
尿糖(GLU)
尿中に糖が出ていないかを見るもので、+だと糖尿病、ストレスが疑われます。
ケトン体(KET)
尿中に、脂肪が分解されたときに出る代謝物・ケトン体が出ていないかを見るもので、+だと糖尿病性ケトアシドーシス、絶食、長期の食欲不振が疑われます。
潜血(BLD)
尿中に赤血球・ヘモグロビンが出ていないかを見るもので、+だと膀胱炎、尿石症、溶血性貧血が疑われるほか、採尿時の手技によることも考えられます。
尿pH
尿の酸性・アルカリ性の度合いを調べるもの。正常はpH6前後で、それより高いとアルカリ性で尿路感染、ストルバイト結晶ができやすい、低いと酸性でシュウ酸カルシウム結晶ができやすくなります。
ビリルビン(BILL)
赤血球が分解された産物であるビリルビンが出ていないかを見るもので、+だと肝臓病、胆道閉塞、溶血性貧血が疑われます。
便検査でわかること
消化の状態や寄生虫感染などを調べる便検査。便は排せつから時間がたつと成分が変質するので、新鮮なものを持参しましょう。
便検査では「消化不良」や「寄生虫感染」がわかる
まずは直接、便の性状(色・硬さ・ニオイなど)を確認し、次に顕微鏡で観察します。これにより消化不良や便の状態、便秘、寄生虫感染、腸内細菌バランスの乱れなどがわかります。
便は自宅で採取するのが一般的。検査日に排せつした便を、なるべくトイレ砂が入らないように採取し、密閉容器に入れて室温保存して持参しましょう。
検査項目の見方と疑われる病気
色
茶褐色が正常な色で、白色だと膵外分泌不全、黒色だと消化管出血、鮮血色だと大腸・肛門の消化管出血が疑われます。
硬さ
7段階スコアで2が正常値で、スコア1だと硬く、便秘、脱水、食欲不振、スコア3~7だとやわらかく、消化不良、胃腸炎、ストレスなどが疑われます。
ニオイ
細菌
螺旋菌や芽胞菌などが見られる場合は、腸内細菌バランスの乱れが疑われます。
寄生虫
回虫卵、コクシジウム、ジアルジア、トリコモナスなどが見られる場合は、寄生虫感染が疑われます。
そのほか、被毛が多い、時間がたち過ぎて評価困難なども記入されています。
健診結果は前回からの推移をよくチェックして
数値が基準値内でも、少しずつ上昇・下降していたら、病気のサインの可能性も。健診結果は参考基準値内かどうかだけでなく、前回からの推移もチェックするようにしてください。
愛猫の病気を早期発見・治療するためにも健診は定期的に受け、気になることがあれば早めに主治医に相談しましょう。
お話を伺った先生/山本宗伸先生(猫専門病院 Tokyo Cat Specialists院長 国際猫医学会ISFM所属)
参考/「ねこのきもち」2026年6月号『“受けっぱなし”はもったいない!猫の健診結果は、こうして読み解く』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。