15才以上の猫は“ハイシニア”と呼ばれ、老化が進み「年を取ったな」と実感する時期。生活のサポートが必要になることもあるので、15才を過ぎた猫にどのような変化が起こるのかなど、きちんと理解しておくことが大切です。
今回は、ハイシニアの猫に起こる体や行動の変化や、お世話の見直しポイントについて、獣医師の小林清佳先生に解説していただきます。
ハイシニアの体・行動・心の変化
ハイシニアの猫には、次のような変化があらわれます。
「体」の変化
- 顔も体も少しずつやせだす
- 腰や関節が痛みだす
- 爪が厚くなり、巻き爪になりやすい
- 視力&聴力が衰える
- 歯が抜けやすい
- 口やお尻まわりなどが汚れやすい
- 毛割れが目立ち、白髪が生えてくる
- 体臭がきつくなりやすい
「行動」の変化
- 音などへの反応が薄くなる
- 1日の多くを寝て過ごす
- 毛づくろいと爪とぎの頻度が減る
- 食が細くなり、好みが変わりやすい
- 高いところに上らず、同じ場所にいがち
- 粗相が増える
「心」の変化
- 飼い主さんへの欲求が強くなる
- 不安を感じやすくなる
- 性格が変わる(穏やかになる、攻撃的になる)
※変形性関節症による痛みや、そのほかの病気で起こる変化の可能性もあるので、気になる異変が見られたら動物病院を受診しましょう。
ハイシニアには穏やかな生活を
ハイシニアになると睡眠時間がさらに長くなるほか、さまざまな機能が低下し、病気も増えるため、介護が必要になるケースも。猫にストレスを与えないよう配慮し、穏やかな日々を過ごさせてあげましょう。
ハイシニアのお世話の見直しポイント
ハイシニアのQOL(生活の質)を維持するための見直しポイントをご紹介します。
生活空間の段差を減らす
ミドルシニアまでは難なく越えられていた50cmほどの段差も、筋力の衰えや、腰痛を抱えていることも多いハイシニアには越えるのが難しい傾向に。ステップ台を設置するなどして、スムーズに上り下りができるようにしましょう。
床が滑らない工夫をする
ハイシニアは筋力の低下や関節炎の痛みで、後ろ足に力が入りにくくなり、ツルツルした素材の床は歩きにくくなります。歩行時の転倒を防ぐためにも、クッション性のあるタイルカーペットを敷くなど、床の素材を見直しましょう。
体を拭いて清潔にする
ハイシニアでは毛づくろいの頻度が低くなるほか、歯周病の猫が菌を含んだ唾液で毛づくろいをすると体が汚れる原因に。毛並みが汚れていたら、猫用のシャンプーシートで全身を拭いてあげましょう。
体に毛玉ができていないかチェック
ハイシニアになると毛割れができたり、短毛の猫でも毛が絡まって毛玉ができることが。毛玉ができた状態でブラッシングをすると皮膚に痛みが生じるため、もし毛玉を見つけたら動物病院やサロンでトリミングしてもらいましょう。
保水食(ウエットフードなどの水分の多い食事)を与える
ハイシニアでは水分摂取量が不足しないように、食べながら水分不足を補うのが理想。食欲が落ちているときは栄養バランスよりも、何かしら少しでも食べさせることを優先させましょう。
食べやすい姿勢をとれる工夫をする
ハイシニアの猫は、頭を下げた体勢をとるのがきつくなります。少しでもラクな姿勢で食事ができるよう、脚付き食器や食事台を用意しましょう。また、下に滑り止めマットを敷いておくと、前足がふんばりやすくなり、食べやすい姿勢をキープできます。
老いが顕著になるハイシニアは、これまでできていたことが、できなくなる時期です。愛猫が少しでも快適に過ごせるように工夫して、穏やかに過ごさせてあげたいですね。
お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2026年8月号『年を重ねて、愛しさ更新中! 愛猫の老いと向き合い、楽しむ シニア猫との暮らし』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。