猫に負担や不安を感じさせないやり方で環境を変化させたり、室内にいながら窓の外の刺激を感じられるようにしたりすると、猫の心身にいい影響を与えられます。今回は、猫にいい刺激・悪い刺激を与える環境づくりについて、愛玩動物看護師の小野寺温先生に教えていただきました。
猫のストレスになる環境変化の刺激とは
変化の程度の違いで、猫にいい刺激も悪い刺激も与えてしまう環境変化。悪い刺激が続くと猫は慢性的なストレス状態になり、生活リズムの乱れや体調不良のリスクが高まるなど、さまざまな悪影響をおよぼしてしまうので、環境を変化させるときは注意して行うようにしましょう。
環境を一変させる
猫がなれ親しみ、自身のニオイがついたものがなくなって一新されてしまうと、猫は自分のテリトリーを失った感覚になり、強いストレスを感じてしまいます。
引っ越しなど、大きな環境の変化が避けられないときは、猫のまわりになじみのあるものを残し、できるだけ変化を最小限にしましょう。
逃げ場・隠れ場を失う
猫にとって逃げ場や隠れ家は、あるだけで安心できる安全地帯のため、なくなってしまうと強い不安を覚えます。
猫が逃げ込むベッド下の封鎖、棚の上にものを置いて猫が上がれなくするなどの変化は、猫にとって悪い刺激になりうるため、模様替えのときなどは猫の居場所に影響がないか確認するようにしてください。
猫にいい刺激を与える環境変化・環境づくりのポイント
猫をワクワクさせ、心身のリフレッシュや活性化につながるいい刺激を与えると、自律神経が安定して生活リズムなども整いやすくなります。では、どのような環境変化や環境づくりを行えば、猫にいい刺激を与えられるのでしょうか。
小さい変化や局所的に変化をもたらす
たとえば、棚をひとつだけ買い替える、猫タワーの位置を少しだけ動かすといった小さな変化をもたらすと、ほかのものは変わらないので安心感があり、変化が猫にとっていい刺激になります。
ニオイをかいだり、観察したり、前足でちょいちょいしたりといった探索行動を引き出し、脳の活性化にもつながります。
既存のものを残したまま新しいものを取り入れる
猫の居場所まわりのものを新調するときは、猫自身のニオイがついた既存のものをしばらく残しておくことがポイント。既存のものも選べるようにしておくことで猫は安心し、新しいものに警戒心を抱くことなく、スムーズに取り入れやすくなります。
窓の外からいい刺激を感じられる環境づくりのポイント
完全室内飼いは安全な一方、刺激が単調になりがち。猫が窓の外を見られるようにすると、猫は室内にいながらにして外の刺激を感じられます。
動くものが眺められるところに居場所を設ける
窓から鳥や虫などを目で追うことで、狩猟のシミュレーションをしているような気分になり、猫の好奇心や狩猟本能を自然に満たします。草木の揺れや歩く人、影の変化などを注意深く観察することも、猫の退屈を軽減し、脳への適度ないい刺激に。
外が見やすいところに猫の居場所を設けたり、窓辺にアクセスしやすい動線を設けたりするなどの工夫をしてあげましょう。
窓を開けてそよ風を取り込む
穏やかなそよ風は、草木や土のニオイ、温度、湿度といった外の情報を収集でき、猫にとって自然ないい刺激に。外に出なくても環境の変化を感じられるほか、感覚的にも心地よく、リラックスにつながります。脱走防止策を講じたうえで窓を開け、そよ風を室内に取り込んで。
こんな窓の外からの刺激は猫の心身に負担をかけるので注意
外から得られる刺激はいい刺激ばかりではありません。窓の外から以下のような刺激が入ってくる場合は注意してください。
窓のすぐそばまで外猫が来る
窓のすぐそばまで外猫が来ると、室内の猫は「縄張りのすぐ近くに知らない猫が侵入してきた」という感覚に陥り、不安や緊張を強く感じます。
窓があることで見えるのに追い払えず、フラストレーションが募る状況に。庭などに外猫が入ってきやすい場合、まずは外猫が近寄らない策を講じ、目隠し用フィルムを貼るなどして外からの悪い刺激を軽減しましょう。
窓の外から強い光や音が入る
窓の外で強い光が点滅する、工事音やサイレンなどの大きな音が頻繁に聞こえるといった状況は、猫の警戒モードを引き起こし心身の負担に。状況に応じて遮光カーテンで光を遮ったり、安心できる場所を別に設けたりして、強すぎる刺激から離れられる環境づくりをしてあげてください。
環境の変化は、猫にとっていい刺激にも悪い刺激にもなりえます。今回の内容を参考に、猫が安心して過ごせて、外からのいい刺激も感じられる環境をつくってあげましょう。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2026年8月号『気付きの違いで、ワクワクにもビクビクにも 知っておきたい 猫にとってのポジ刺激ネガ刺激』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。