突然ですが、愛猫が可愛い余り濃密なスキンシップを行っていませんか? その触れ合い、じつは動物と人との間でうつる病気「人獣共通感染症」の原因になっているかも。今回はそんな人獣共通感染症の中でも、猫から人に直接うつりやすい病気をご紹介します。
猫と暮らしてこんなことしてませんか? されてませんか?
猫に引っかかれる
猫を過度に触る
猫にキスをする
こんなことをしたりされたりすると、猫ひっかき病・皮膚糸状菌症・パスツレラ症などになるリスクが! これらは具体的にどのような病気なのでしょうか?
猫ひっかき病
病原菌が傷口から侵入します
その名の通り、猫に引っかかれたり噛まれたりして発症する病気です。病原菌は、猫の赤血球をすみかにしていて、3才までの猫に多く寄生しているというデータも。感染すると、3日〜数週間で感染部位が腫れ上がったり、リンパ節などが腫れる場合が。痛みや高熱、倦怠感が出ることも。
負傷したときはすぐに水で洗い流して
猫に攻撃されて負傷したときは、傷口をすぐに流水にあてて細菌を充分に洗い流して、さらに市販の殺菌・消毒剤で消毒して。傷が浅くても、悪化して重症化することもあるので、早めに受診を。
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
皮膚の弱いところに赤斑・かゆみを生じます
カビ(真菌)の一種である皮膚糸状菌が、毛や皮膚に寄生する病気。猫と過剰に接すると感染します。子猫や元ノラ猫は、保菌率が高め。皮膚が薄くて弱い部分に発症しやすく、かかると赤い斑点や脱毛が見られ、かゆくなります。この病気は、猫も人と同様の症状で発症します。
パスツレラ症
感染から、早いと30 分で発症することも
病原菌のパスツレラ菌が、猫が引っかいた傷などから入り込んで感染します。感染すると、30分〜2日以内に発症。傷口を中心に赤く腫れ上がり、激しく痛み、発熱することも。猫の口内に潜む常在菌なので、キスなどで感染するケースもあります。
予防するには?
日々、暮らしにちょっとの注意をはらっていれば、猫と安全に暮らすことができます。
こまめに手を洗う
トイレ掃除や猫と遊んだあとはもちろん、ノラ猫に触れた場合や、猫グッズに触れたあとにも、必ず石鹸で手を洗いましょう。
爪切り・ブラッシングをする
爪切りをすれば、猫に引っかかれても軽症ですみ、菌に感染するリスクを下げられます。ブラッシングをしていれば、ノミの寄生などに気付きやすいです。
キスなどはしない
猫の口は常在菌がいるほか、肛門を毛づくろいすることで排泄物中の病原体が付いてしまっていることも。キスや口周りを舐めさせるなどはやめましょう。
予防していても感染してしまうことはあります。もし「感染したかも」と思ったらすぐに病院へ向かいましょう。出ている症状あった科を受診するようにしてください。また、診察の際には「猫を飼っている」と医師にあらかじめ伝えると、診断の手掛かりにもなりスムーズです。しっかりと予防し、安心なスキンシップができるといいですね。
参考/「ねこのきもち」2017年9月号『猫から人にうつる病気に気を付けて!』(監修:日本大学生物資源科学部獣医学科 獣医公衆衛生学研究室教授 丸山総一先生)
文/浪坂一
イラスト/深尾竜騎
※この記事で使用している画像は2017年9月号『猫から人にうつる病気に気を付けて!』に掲載されているものです。