猫と暮らす
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在宅ワークや家族のケンカ…「ステイホーム」で猫に起こりうる心身への影響
今、在宅ワークをしている猫飼いさんも多いことでしょう。「#Stay Home」をしている中で、これまでとは違う飼い主さんの生活スタイルに、猫たちも戸惑うこともあるのかもしれません。
この記事では、飼い主さんのステイホームによって猫に起こりうる変化などについて、ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
飼い主さんの在宅ワークで、猫に変化は起こる?

.猫は、環境の変化によって心や行動に影響を受けやすい生き物です。飼い主さんの在宅ワークも猫の生活環境の中の大きな変化ですので、それなりに影響はあると考えるほうがよいでしょう。
その影響が猫にとっての「ストレス」になるのか、それとも「楽しい変化」と感じるのかは、そのコの年齢や性格、また飼い主さんとの関係性など、状況によってさまざまです。
飼い主さんの在宅を「楽しい」と感じる猫の傾向
たとえば、もともと活動的だったり、かまってほしい気質が強い傾向のある猫の場合は、今まで飼い主さんが仕事で不在だった時間は、むしろ退屈な時間と感じていたかもしれません。
そのような状況であれば、飼い主さんの在宅は猫にとってはむしろワクワクするような楽しい変化と感じる可能性があるでしょう。
飼い主さんの在宅に「ストレス」を感じる猫の傾向
一方、かまってほしいときとそうでもないときがハッキリしている、いわゆる「ツンデレ猫」や、もともと警戒心が強く飼い主さんに甘えてくることが少ない気質の猫もいますよね。そういう猫の場合は、飼い主さんの不在は「自分1匹だけでまったりと心穏やかにくつろぐ時間」と認識しているかもしれません。
そのため、飼い主さんがこれまでとは違い在宅ワークをするようになると、悪気がなくてもその猫のペースを乱す不快な刺激になる可能性もあるでしょう。
そのような状況であれば、飼い主さんの在宅ワークにその猫が慣れるまでの期間は、一時的に戸惑いや苛立ちなど、今までにはないストレスを感じるかもしれません。
環境の変化による猫のストレスサインとは?

これまでとは違う環境にストレスを感じた猫は、下記のような変化が見られることがあります。
長期的なストレスの刺激で攻撃的になることも
ストレスを長期間受け続けたり、ストレスの刺激が強すぎると、警戒心が過剰に高まってしまい、結果的に飼い主さんに対して攻撃的にふるまうよう行動が変化することがあります。
警戒心の高まりから、周囲の人間や同居のほかのペット、庭に遊びに来る野鳥や地域猫などに対してひどく苛立って唸り追い払おうとしたり、飼い主さんに実際に噛みついてしまうことも珍しくありません。
ステイホームで家族のケンカが増えた 猫への影響は?

ステイホームで以前よりも家族といる時間が増えて、些細なことでもケンカしてしまっている…という家庭もあるかもしれませんね。
人間のケンカは、猫にとっては理解が難しいもの。慣れ親しんだ家族が苛立っていたり、大きな声を出しているという状況は、猫にとっては意味がわからず恐ろしい刺激で恐怖でしかありません。
猫は恐怖を感じると、それに応じて自分自身を守ろうとする気持ちも強くなるため、警戒心が高まって常に緊張した状態に陥ります。これは猫にとっては非常に大きなストレスです。
ストレスを感じた猫が見せる行動
猫はストレスが高じると、下記のように行動が大きく変化することがあります。
ストレスを感じた猫に起こる体調の変化
また、ストレス状態が続くことによって健康面にも次のような変化が見られることもあるので、注意が必要です。
家族のケンカを一切やめるのは難しいかもしれませんが、人間同士のいさかいで愛猫がつらい思いをすることもある、というのを常に心に留めておくようにしましょう。
環境の変化で不安になっている猫への対応は?

環境の変化で不安を感じている猫に対して、飼い主さんが心がけたい行動について紹介します。
猫の行動を妨げないようにしよう
まずできる範囲内で猫の行動を妨げないように努めましょう。とくに猫が距離を取りたがっているようであれば、無理にかまうことは避けてください。
逆に甘えてくるようであれば、こまめな声かけや遊んで発散する時間などを意識して増やすとよいでしょう。
猫が隠れる場所を工夫して設置しよう
また、猫が隠れる場所をいつもより増やすのも、ストレス軽減に効果が期待できます。たとえば、下記などの工夫をして隠れ場所を作ってあげてみてください。
家族でのケンカをできるだけ避けよう
家族同士が頻繁にケンカするのも、できる範囲で避ける努力をしましょう。どうしても話し合う際には、せめて猫のいない場所に移動してからにするなどの心配りがあると、なおよいでしょう。

慣れない生活スタイルでは飼い主さんも疲弊してしまうでしょうが、猫たちもストレスを感じがちになっている場合があります。家族みんなで快適に過ごせるよう、さまざまな工夫をしてみてくださいね!
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
取材・文/柴田おまめ
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