猫飼いさんなら誰しも見たことがある猫のナゾに満ちた怪奇行動の数々。でも、そこには、猫ならではの本能や知性が隠れているのです。
今回は、雑誌「ねこのきもち」で掲載しきれなかった不思議で怪奇な行動をいくつかご紹介。
その行動にはどんな「ネコごころ」が働いているのか?
哺乳動物学者の今泉忠明先生に解き明かしてもらいます。
怪奇行動①ゴハンの後に私の方を向いてニャゴニャゴしゃべるように鳴くのはなぜ?
そのネコごころは?
満足していることを知らせている
子猫は母猫のおっぱいを飲みながら、喉をゴロゴロ鳴らす習性があり、それは「おっぱいを飲んでうれしい、もっと飲みたいことを母猫に伝えるため」といわれています。ゴハンの後に飼い主さんに向かって鳴くのは、そうした子猫時代の名残と考えられます。そんなときは「ゴハン、おいしかったね」「よく食べたね」などと声をかけたり、体をなでたりして応えてあげるといいですね。
怪奇行動②家に帰ってくると、留守番していた2匹が取っ組み合いを始めます。片方が鳴くらいまでヒートアップすることもあり、仲裁には入りますが、少しだけ心配です。
栃木県 ノアくん(オス・1才)、チャモくん(オス・3才/マンチカン)
そのネコごころは?
留守番中も取っ組み合い。その反撃をしている
かなりヒートアップするようなら、留守番中に何かが起こっている可能性があります。実際に留守番中の様子を録画して見てみないとわかりませんが、たぶん飼い主さんがいないところでも取っ組み合いをし、どちらかがやられているのでしょう。その場合、そのやられているほうが、飼い主さんがいるときに反撃に出る傾向があるのです。留守番時に毎回取っ組み合いをするようなら、別々の部屋で留守番させるなど2匹が接触しない工夫をしましょう。
怪奇行動③帰りが遅くなった日はとくになのですが、頭でゴンゴン頭突きしてきます。これは激しく甘えているのですか?
そのネコごころは?
額でニオイを付け、挨拶をしている
野生の動物の世界では、しばらく群れから離れていた個体が帰ってきたとき、頭をほかの個体の体につけて挨拶をすることがあります。飼い主さんの体にゴツンと頭突きするのもそうした挨拶の一種。猫の体のさまざまな部位にはニオイを出す臭腺があり、額も臭腺が集まっている部位のひとつ。自分のニオイを付けて、その存在を知らしめているのです。転じて「かまってよ」というメッセージにもなっています。
いかがでしたか。一見、怪奇な行動に見えても、猫の生態に基づいたものだということがよくわかりますね。愛猫をよりよく知るための参考にしてください。
参考/「ねこのきもち」2020年7月号「猫の怪奇行動エピソードFILE」(監修/今泉忠明先生 哺乳動物学者・日本動物科学研究所所長)
イラスト/ナカオテッペイ
文/ねこのきもち編集室