猫がバテてしまう=夏バテと思っていませんか?
厳しい暑さによって、猫が熱中症や夏バテになることはよく知られています。「対策はばっちり!」という飼い主さんも多いのではないでしょうか?
しかし、夏だけでなく「梅雨どき」に猫がバテることもあるそう。近年増えている梅雨どき起きる猫の体調不良を「梅雨バテ」と名付け、モノカどうぶつ病院の小林清佳先生にその症状を解説してもらいました。
人と同じように猫も「気象病」で体調を崩します
人でも、季節の変わり目に体調を崩す「気象病」の方が増えています。気候や気圧の変化が自律神経やホルモン分泌に影響するために起こると考えられていますが、猫も、恐らく同じ原因で体調を崩すと考えられます。「梅雨の時期は、日によって寒暖差が大きく、また湿気が多い状況が続くのが特徴。こうした環境に体がついていけないと、さまざまな体調不良が起こると考えられます」(小林先生)。
では、梅雨バテになると具体的にどんな症状が見られるのでしょうか。
嘔吐・下痢
自律神経のバランスが崩れたり、寒暖差によるストレスを受けたりすると、胃腸機能が低下します。また、人と同じように、頭痛や腰痛、めまいなどが下痢や嘔吐を引き起こす可能性も。吐しゃ物や下痢がないか、毎日よく観察を。
食欲低下
胃腸機能が低下すると、食欲が落ちます。また、傍からはわかりませんが、猫自身が体が重い、だるいなど何らかの自覚症状を感じている場合も、食欲が落ちます。食べる量がいつもの6割以下になっていたら受診して。
元気がない、動きが鈍い
猫の自覚症状を知ることはできませんが、梅雨バテすると、人と同じように倦怠感、頭痛、関節痛、めまいなどが起こると考えられます。何となく元気がないときや動きが鈍いときは、こうした症状があるのかもしれません。
ほかにもある、梅雨時にかかりやすい病気
梅雨バテのほかにも、梅雨どきにかかりやすくなる病気があります。気になる症状が見られたら早めに動物病院で相談を。
外耳炎
外耳炎はさまざまな原因で起こりますが、梅雨どきにはマラセチアという常在菌による外耳炎にかかりやすくなります。耳の穴に炎症が起こり、かゆみや痛み、耳アカがたくさん出ます。
皮膚炎
子猫や免疫力が低下している猫では、皮膚炎を発症することも。おもに常在菌である皮膚糸状菌(カビの一種)が原因で、背中などに湿疹、フケ、脱毛などの症状が見られます。
胃腸炎
高温多湿の環境下では、雑菌が繁殖しやすいもの。雑菌が繁殖したフードや水を口にすることで、胃や腸が炎症を起こし、嘔吐、下痢、食欲不振などの症状が見られます。
梅雨バテは、急に激しい症状が起きるのではなく、“何となく具合が悪い”状態が続くのだそう。見極めが難しいですが、対処が遅れるとほかの病気を招くこともあるそうなので、しっかり愛猫の様子を観察したいですね。
参考/「ねこのきもち」2021年6月号『必要です 猫の「梅雨バテ」対策』(監修:モノカ動物病院院長 小林清佳先生)
文/ハナマサ
画像/iStock、Getty Images Plus