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必ずしもうまくいくとは限らない!?「2匹目の猫」を迎え入れる際に飼い主が知っておくべきこと
猫を1匹飼っている飼い主さんのなかに、「もう1匹猫を迎えたい」と考えている人はどれほどいるのでしょうか?
【調査】2匹目の猫の迎え入れを考えている飼い主さんは、どれくらいいるの?
今回ねこのきもちWEB MAGAZINEでは、現在、猫を1匹飼っている飼い主さん202名を対象に「2匹目の迎え入れを検討しているかどうか」アンケート調査を実施しました。すると、約半数の人が2匹目を迎えたいと考えていることが明らかに。
2匹目の迎え入れで心配事がある飼い主さんも
2匹目の迎え入れを検討している飼い主さんのなかには、次のような心配事がある人もいるようです。
- 「先住猫との相性。喧嘩せず仲良く遊んでくれるか心配」
- 「べったりな甘えん坊なので、2匹目とうまくやっていけるか相性が心配です」
- 「ご縁があればぐらいに考えてる程度ですが、もし迎えることになったときにずっとひとりで女王様状態だったので、ストレスになるんじゃないかとかが不安です」
- 「やはり猫同士の相性が心配。現在ワンルームのアパートなので、もし何かあった場合に2匹別々に過ごせるよう、2部屋以上ある物件への引越しも含めて検討中」
- 「先住猫とうまくやっていけるか、年間でかかる費用面の不安、居住スペースの広さの問題でストレスを抱えないか、万が一先住猫と相性が悪かった場合にどうしたら乗り越えられるかなど、不安のほうが大きい」
- 「相性が悪かった場合の対応。部屋を分けるなどの対応が取れるほど家が広くないので、躊躇ってしまっています」
- 「現在は1匹の猫に家族の全愛情と注意が注がれていますが、2匹になった場合にも同じようにできるかどうか…」
【解説】考えたい! 猫の複数飼いのQOL
新しい猫を迎えることは、飼い主さんは楽しみなことも多いかもしれませんが、先住猫もそうとは限らないといいます。2匹目を迎える前に飼い主さんが考えたいことについて、獣医師の菊池亜都子先生が解説します。
同居猫の存在はプラスにもマイナスにもなる
猫はもともと単独行動をする動物です。現代の飼い猫たちは猫なりの社会性も身についているため、猫同士は「一緒に暮らす仲間」と思っているのではないでしょうか。
ただ、猫は自分の縄張りを大切にする動物なので、限られた空間の中で複数匹を生活させる際、うまくいくとは限らないことを飼い主さんは肝に銘じましょう。
「QOL」という言葉をご存知でしょうか。これはQuality Of Lifeの略で「生活の質」という意味です。どれだけ人間らしい生活を送れているかの満足度を表す指標で、最近は動物でも注目されています。
猫の場合、心身ともに健康な状態か、快適な生活環境か、飼い主さんや同居猫といい関係が築けているかが、QOLを向上させるポイントだといえるでしょう。
飼い主さんが思う、複数飼いの猫のQOLプラス&マイナス
飼い主さんが考える複数飼いのプラス、マイナスについては、具体的に次のようなものがあります。
プラス
マイナス
残念ながら、複数飼いによって愛猫のQOL下がり、マイナスになることも。その場合はそのままにせずに、少しでも改善できるように飼い主さんができる対策をしていきましょう。
先住猫のQOLを低下させないために 2匹目を迎える前に知っておきたい3つのこと
まずは2匹目の迎え入れを検討する前に、飼い主さんは下記の3つのことを考えてみてください。
①愛猫が複数飼いに向くか傾向をチェックする
新しい猫を迎えることで、生活が楽しくなる猫もいれば、ストレスを感じる猫もいます。まずは、愛猫が複数飼いが「うまくいきやすい」か、「うまくいきにくい」かの傾向をチェックしましょう。
愛猫の年齢や性格、これまでの環境によって、ある程度は推測できます。
複数飼いの適性チェック!
若い猫ほど新しい猫を受け入れやすく、高齢であればあるほど難しくなる傾向に。
物怖じしないタイプはスムーズに受け入れられ、警戒心が強いタイプはストレスを抱える可能性が高いでしょう。
子猫時代にほかの猫や家族以外の人と接したなど、刺激が多い猫のほうが環境の変化に順応しやすい傾向に。
②猫同士の性別・年齢別、相性のよしあしの傾向を知る
猫同士の相性には、性別や年齢による傾向も見られます。性別でいうと、以前は「オス×メスがうまくいきやすい」という説がありましたが、メスが拒絶するケースが多く、必ずしもそうではないことが判明しました。傾向を知り、少しでも相性のよい猫を見つける参考にしてください。
性別の傾向は?
《オス×オス》
未去勢だと、縄張り争いから対立しがち。ただ、去勢後は穏やかな性格になる傾向にあり、よき遊び相手として仲良くなるケースが多く、ベストな組み合わせでしょう。
《メス×メス》
気の強い性格同士だと、ライバル関係になることが。先住猫が優しい性格であれば、去勢ずみのオス同士の次に仲良くなりやすい組み合わせでしょう。
《オス×メス》
繁殖以外ではメスはオスを必要としないので、オスを避けるパターンが多いよう。とくにメスが神経質な性格だと、オスを拒否するケースが多いでしょう。
年齢の傾向は?
《若い×若い》
2匹目を迎えることを考えているなら、先住猫が若いうちがおすすめ。新しい猫も幼いほうが一緒に遊んだりして、仲良くなる可能性は高いでしょう。
《高齢×若い》
高齢になると縄張り意識が強くなるため、新しい猫を受け入れにくくなります。ただ、新しい猫が子猫だと、性別に関係なく母性のようなものが芽生え、うまくいくケースも。
《高齢×高齢》
性格が合えば、スムーズにいくことも。しかし、一般的に年齢が上がるとともに、うまくいく確率は低くなります。
③対面は時間をかけて慎重に行う
新しい猫の候補が決まったら、できればトライアル期間(お試し生活)を設け、相性を確認しましょう。その際、いきなり新しい猫を家で自由にさせると、先住猫は自分の縄張りに侵入されたと感じてトラブルのもとに。
「対面~フリー」は正しいステップを踏み、1~2週間かけて慎重に行いましょう。
【ステップ1.】別々の部屋で生活させる
猫が環境になれるまでに3日ほどかかるため、最初は2匹を別々の部屋で生活させましょう。この間に、動物病院で感染症の有無の確認、ワクチン接種を済ませます。
【ステップ2.】ケージ越しに2匹を対面させる
2匹が落ち着いていたら、新しい猫をケージ(もしくはキャリーケース)の中に入れて、ケージ越しに対面を。先住猫が嫌がって逃げたら、無理強いしないようにしましょう。
【ステップ3.】飼い主さん立ち会いのもと同室でフリーにする
どちらも威嚇しなくなったら、飼い主さん立ち会いのもと、部屋の中で2匹をフリーにしてみましょう。どちらかが威嚇したら新入り猫をケージに戻し、少しずつ同室で過ごす時間を増やしてみてください。
複数飼いを成功させるために、飼い主さんが心得ておきたい4つのこと
複数飼いならではの飼い方にはコツがあります。下記のことを実践してみてください。
①飼い主さん主導の遊び時間を猫ごとに設けよう
活発な若い猫は、ときとして高齢の猫には迷惑な存在になってしまうことも。活発な猫のエネルギーを発散させるために、飼い主さんがおもちゃを使って、存分に遊び相手になりましょう。複数で遊ばせるのは難しいので、1匹ずつ相手になってあげてください。
②ケンカになりそうなときは、すぐに引き離そう
仲が悪くない猫同士でも、ときには険悪なムードになることがあります。唸りながらにらみ合っていたら、声をかけたり、おやつで気を引き、速やかに2匹を引き離してください。
もしケンカが始まってしまったら、飼い主さんが手を出すのは危険です。2匹の間にクッションを投げるなどして、遮断しましょう。
③室内のあちこちに居場所をつくろう
猫には、「安心してくつろげる場所」と「何かあったときに避難できる場所」が必要です。複数飼いの場合、猫ごとにそのような居場所を用意しましょう。
ポイントは、1匹の猫が休める程度の大きさで、高さの違う居場所を家のあちこちに配置してあげることです。
④猫トイレの数は多く静かな場所に設置しよう
排泄に神経質な猫の場合、同居猫が近くにいると落ち着いてトイレが使えないことがあります。また、同居猫の排泄物が残るトイレを使いたがらない猫もいます。粗相やオシッコの病気の原因にならないよう、それぞれの猫が好むトイレ環境を作りましょう。
理想のトイレ環境としては…
といったことを意識してみてください。
猫同士の相性が悪かったら、同じ空間での生活をあきらめる決断も必要に
猫同士の相性が悪いと、顔を合わせただけで激しく攻撃して、相手にケガをさせてしまうことがあります。
そのようなときは、同じ空間で生活させるのはあきらめて、完全に生活スペースを分けて“家庭内別居”をさせるように検討しましょう。その際、2匹が鉢合わせしないように部屋のドアを閉めて、別々の部屋で生活させます。
どちらかの猫に下記のような様子が見られたら、家庭内別居を検討する必要があるでしょう。
上記のような様子が見られるのに、部屋数が足りなかったり、飼い主さんが一人暮らしだったりした場合、家庭内別居させるのが難しい環境もあるでしょう。その場合は、猫のために新しい飼い主さんを探すことを検討する必要も。
猫のQOLを考えたときには、ほかの家族のもとで安心して暮らせるほうが幸せなケースもあります。
2匹目の迎え入れを考えている飼い主さんは、同居猫の存在が愛猫にとって必ずしもプラスになるかどうかはわからない、ということを考える必要があります。
まずは、愛猫が複数飼いに向くタイプなのかどうかを、飼い主さんはよく考えてあげましょう。
ねこのきもちWEB MAGAZINE『2匹目の猫の迎え入れに関するアンケートvol.01』
お話を伺った先生/菊池亜都子先生(ペット問題行動クリニックBLISS)
参考/「ねこのきもち」2019年12月号『考えたい! 複数飼いのQOL』
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
文/sorami
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