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猫たちの息づかいまで感じられる 岩合光昭さんの新刊写真集の撮影秘話を聞いた

個性豊かな「記憶に残る」22匹の猫たち

雑誌『ねこのきもち』の人気連載「岩合さんのネコこよみ」ほか、写真展や各メディアで人気の動物写真家、岩合光昭さん。10月11日に新刊『ねこ22(にゃんにゃん)』(ベネッセコーポレーション)が発売されました。

「世界はネコがいるから美しい」というキャッチコピーの通り、世界各国の美しい風景と猫たちのたくましい生命力から元気をもらえる写真集です。写真には、それぞれの猫について岩合さんが想いを綴ったエッセイが収録されています。
今回の岩合さんへのインタビューは、記憶に残る猫について伺いました。
表紙はバラの木陰で休む母ネコ・ぺルラ。キリっとしたまなざしが印象的

最初に会ったときから感じた「特別なコ」のドメニコ

(c)Mitsuaki Iwago 初めて会ったときから「特別」だったドメニコ
(c)Mitsuaki Iwago 初めて会ったときから「特別」だったドメニコ
『ねこ22』の写真は、連載「岩合さんのネコこよみ」に登場した猫の中から22匹をセレクト。岩合さんご自身は「僕の好みが入るから」とのことで(笑)、どの猫を掲載するかは、編集室主導に。読者人気、際立つキャラクター、全体のバランスも考慮された22匹が揃いました。

「このコは掲載されるだろうな、と予想したコもいますし、意外だったコもいます。ノルウェーのキアーラは、写真展でもすごく人気があるんですよね。トルコで出会った寄り目のグリちゃんは、NHK『岩合光昭の世界ネコ歩き』の番組初回のロケだったのでとても印象的ですし、イタリアのドメニコは、最初に会ったときから、このコはちょっと特別なコだと感じました。また、プリンス・エドワード島のホーマーは、縄張りを一緒に歩くうちに、気持ちの大きな動じないコだなと感じましたね」。

バイクに乗る姿がテレビでも話題に

そんな中でもブラジルのバイクに乗るネコ、シキンニョは忘れられないそう。
(c)Mitsuaki Iwago ブラジルで撮影したネコ・シキンニョ
(c)Mitsuaki Iwago ブラジルで撮影したネコ・シキンニョ
「『ネコ歩き』のオンエアの2年後くらいに、リオデジャネイロに住む方から、シキンニョがテレビに出たよ、と聞きました。凶悪犯罪のニュースの現場リポート中に、シキンニョを乗せたご主人のバイクがちょうど後ろを通りがかったそうで。視聴者から“あの猫は何だ?”とテレビ局に問い合わせがあったらしいです。ニュースより目立っちゃったみたいですね」

猫を通じて、海外の美しい風景や空気を感じられるのは、岩合さんの写真ならでは。

「最近、写真展をご覧になった方からよく“このご時世で世界を旅することができなくなってしまったので、岩合さんの写真で旅している気持ちになれます”と言われるんですよね。僕自身、なかなか海外に行けない状態ですから、自分の作品を見ると、改めて“ああ、旅したいな”と思いますね」。

「ネコって、もちろんかわいい顔もあるんですが、対峙していると、他の人には見せない表情を見せてくれることがあるんですよね。その瞬間は、これが本当のこのコなんだ、と本性を見せてもらったような気持ちになりますね。ただ通り過ぎてしまうネコもたくさんいるんですが、この本に登場しているのはお互いに一瞬のやりとりがあった、僕の琴線に触れる何かがあったコたち。このコたちだったら、うちに来て一緒に過ごしてもいいな、面白いだろうな、と思いますね」
新刊写真集『ねこ22』は、岩合さんが出会った22匹の猫たちのキャラクターだけでなく、生きる力、息づかいまで感じさせてくれます。猫たちの躍動感あふれる写真から、エネルギーをもらってみてはいかがでしょう。
文/郡司真紀
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