猫と暮らすとちょっと戸惑うのが、猫のするしぐさの中には、同じしぐさでもそのときの状況によっては意味が変わるものがあるということ。逆に、違うしぐさでも同じ意味であることも。時と場合によって同じだったり違ったりする猫のしぐさと気持ちのうち、今回はある気持ちのときに見られる猫の行動を紹介します。
3つのしぐさ、このときの気持ちはすべて同じです
自分の体をなめ始める
爪とぎを始める
顔を洗う
さて、これらはどんな気分のときにするのでしょうか?
それは、
「ストレスを感じていて、気持ちを静めたいとき」
です。
ストレスを感じたとき気持ちを静めるためにする「転位行動」
ちょっとびっくりしたあとに「自分の体をなめ始める」、うまくおもちゃを捕まえられず「爪とぎを始める」、高いところから足を滑らせたとき「焦ったように顔を洗う」、これらの行動はすべてストレスを感じたり、気持ちを静めたいと思ったりしたときにする「転位行動(てんいこうどう)」です。
「転位行動」って?
転位行動とは、緊張や恐怖などの感情が入り混じった葛藤状態になったとき、そのストレスの原因とは関係のない行動をとること。気を紛らわせることで、興奮した気持ちを落ち着かせます。
たとえば猫が苦手な相手に出くわし、「攻撃か」「逃げるか」の2択を迫られたとします。そこで、爪とぎや毛づくろいなどのまったく関係ない行動をすることで、気分転換してしまうのです。
人にたとえたら……何でしょうか。筆者の場合は、なんだか不安になると「耳かき」をすると気持ちが落ち着きます。受験勉強のときなどは、行き詰まってくると「枝毛」を探し始めたり……。考えてみると、人にも転位行動がありそうですね。
毛づくろい、爪とぎ、顔を洗うときの猫の様子を観察して、「ちょっとしたストレス」を感じていないか、チェックしてみてください!
出典/「ねこのきもち」2015年11月号『猫が抱える心の葛藤…』
文/マリー=クリスティーヌ=ベロン
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。