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背後から響く猫の「ザリザリ音」…それは今日も元気だというバロメータ【渋ネコししまるさん】#6
ペットショップにいたときも、
「エサの時間になるとソワソワしはじめる」
「小さいのに、ガツガツと犬のような食べ方で食べる」
と評判だったようです。
9年経った今でも、その食欲は健在です。
そして、お皿にごはんを入れると、入れ終わる前に頭をつっ込み、ガフガフという音を立てて食べ始めます。
ししまるは、お皿からこぼれたカリカリフードは食べないので、一緒に食べてくれれば……と思ったりします。
ししまるの主な食事はカリカリですが、食欲が落ちているとき、病気で薬をあげるとき、そして、なんとなくおめでたいときは、ウェットフードをあげています。
ウェットフードの方が大好きなようで、ウェットフードの袋の音がすると飛んできて、頭の毛がはげ落ちてしまうのではないかと思うほど、私のすねにスリスリしてきます。
あれは、ししまるを迎え入れたある蒸し暑い夏の日の夜の出来事です。
新しい環境になれず不安になっていたししまるは、物陰に隠れじっとしていました。
私は、「少しでも元気になれば…」とウェットフードをお皿に入れました。
待っていてもなかなか食べようとしないので、こちらものんびりとかまえ、ソファーに座って本を読んでいました。
しばらくすると、どこかから、ザリッという音が聞こえました。
はじめは空耳かと思ったのですが、やっぱり…
ザリッ ザリッ
という音が聞こえるんです。
「おかしいな?ふしぎだなぁ?」と稲川淳二風に寒気を感じていると、音はだんだん大きくなって…
ザリリリィ ザリリリィ ザリリリィ ザリリリィ
と、なんだか背中をこそぎ落とされそうな音が鳴り続けました。
そして次の瞬間 ガタン!という大きな音と、ばたばたと何かが立ち去る音がしました。
音のする方へ行ってみると、そこにはピカピカのお皿が一枚あるだけで、ウェットフードは、どこかへ消えていました。
そしてカーテンの隅で、まだまだ食べたそうな目でこちらを見ているししまるが、ぺろーぺろーと、舌なめずりをしていたのでした…。
今ではこの「ザリザリ音」を聞くと「もっとごはんを食べさせてあげたい」という気持ちに駆られ、なんとなく申し訳ない気持ちにもなりますが、9歳になったししまるには、厳しい食事管理も必要なのでした。
元気な「ザリザリ音」、いつまでも響かせてほしいものです。
今日の一枚 「どこかで、ごはんを食べる音が聞こえる!」
登場人物の紹介
Taco(たこ)プロフィール
「ちいさな猫を召喚できたなら」「3匹のちいさな猫を召喚できたなら」「ぷっちねこ。」(徳間書店)など、好評発売中。「ちいさな猫を召喚できたなら」は重版後、韓国版も発売。今年は中国版とインドネシア版が出版予定。
現在、Web上では不定期に新作漫画を更新中。詳しくは以下のSNSへ。
Tacoのインスタ: @tacos_cat
ししまるのインスタ: @emonemon
・Twitter:@taco_emonemon
「渋ネコししまるさん」は毎週土曜日配信です。
次回もお楽しみに~♪
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