「見た目も機能も優れている猫の鼻は、人とは違うことも多くて面白いですよ」と哺乳動物学者の今泉忠明先生。そんな猫の鼻にまつわるトリビアを教えていただきました。
嗅覚は、メスのほうが優れている !?
一説によると、猫の嗅覚は、オスよりメスのほうが優れているといわれています。今泉先生によると、猫は生殖活動においてメスがオスを選ぶので、オスのニオイを敏感に嗅ぎ取れるようになっている可能性があるとのこと。
猫の嗅覚は、人の約20万倍⁉
鼻の奥にある嗅上皮には、吸い込んだニオイの分子をとらえる嗅細胞があります。猫はこの嗅細胞の数が多く、人よりも嗅覚が優れていると考えられるそうです。嗅細胞が密集する嗅上皮の表面積が人の10倍以上あり、嗅覚は約 20万倍も敏感である可能性が高いのだとか。
鼻の湿りが猫の体調を知る手がかりになることも
猫の鼻は湿っています。これは、鼻先から分泌される汗と皮脂によるもの。元気に動き回っているときは汗と皮脂が多く分泌されるため、より湿りやすくなります。また、熱があると蒸発しやすくなるので、鼻の先は乾きがちに。ふだんの湿り具合は、猫の体調を判断する目安にできるかも。
鼻の色はひそかに変化している!
猫の鼻の色は変化します。たとえば、勢いよく走ったあとに血行がよくなり、もともとピンクだった鼻が一時的に赤くなったりすることも。この場合、しばらくすると元の色に戻ります。また、加齢でかすんできたり、黒いシミのようなものが現れたりすることもあります。
"鼻チュー"は、愛あればこそ♥︎
猫は、鼻と鼻をくっ付けることで、お互いのニオイを嗅ぎ合って、情報を交換しています。
この行動を見せるのは、親愛の気持ちを抱いている相手とだけ。"鼻チュー"をしているなら、大好きの証ともいえるでしょう。
「鼻」と「肉球」の色は連動している
猫の「鼻」と「肉球」の色は基本的に同じといわれています。鼻がピンクなら肉球もピンクに、上の写真の鼻のようにまだらな場合は、肉球もまだらになります。
白い猫が増え、鼻はピンクが増加!?
鼻の色は、皮膚の一部なので、皮膚の色を決める色素によって決まります。たとえば、白い猫は、色素が少ないため、鼻も血管が透けて見え、ピンクに。飼い猫は白い猫が増えているので、鼻の色もピンクが増えている可能性は高いでしょう、と今泉先生。
いかがでしたか。愛らしい鼻には、さまざまな能力や機能があるんですね。猫と顔を合わせるのがさらに楽しくなりそうです。
参考/「ねこのきもち」2019年4月号『猫のおハナ見しませんか?』(監修:哺乳動物学者、今泉忠明先生)
文/犬神マツコ
※この記事で使用している画像は2019年4月号「猫のおハナ見しませんか?」に掲載されているものです。