猫と暮らす
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猫が「落ち込んでいるように見える」状況の例3つ 本当は違った気持ちが隠れていた
猫の姿を見て、まるで落ち込んでいるように見えることがありませんか? そのとき、実際はどのような気持ちなのか——ねこのきもち獣医師相談室の獣医師が解説します。
猫が落ち込んでいるように見える状況の例3つ
——飼い主さんから見て「愛猫が落ち込んでいるように見える」というとき、どのような状況のことが多いでしょうか?
ねこのきもち獣医師相談室の獣医師(以下、獣医師):
「猫が落ち込んでいるように見える状況について、ここでは例として3つ取り上げます」
①怒られたときに目が合わないようにして、目をそらして下を向いている
獣医師:
「飼い主さんに怒られたときに、目が合わないようにそらし、下を向いていることがあります。このとき、猫は怒られたことは理解していますが、特に反省をしているわけではないでしょう」
②かまってもらえなかったときに、しっぽをパタパタさせて横になる
獣医師:
「飼い主さんに相手にされなかったときに、しっぽをパタパタさせながら横になる猫がいますが、実は落ち込んでいるのではなく、むしろ飼い主さんにかまってほしい気持ちが隠れているでしょう」
③何かに失敗したときに体を舐めている
獣医師:
「猫は何かに失敗したときに体を舐めることがあり、その姿が落ち込んでいるように見えるかもしれません。しかし、失敗したことへの気を紛らわすためにグルーミングをしているだけでしょう」
——猫が落ち込んでいるように見えるシチュエーションは、さまざまあるのですね。
獣医師:
「そうですね。ここで紹介した以外にも、落ち込んでいるように見える状況はあるでしょう。
ただ、猫は人の気を引くために拗ねてみたり、よそよそしく振舞うようなことはしません。飼い主さんに怒られたときも『怒られた』ということはわかってはいますが、怒られた原因を理解して落ち込み、自ら反省をするということはしないといわれています」
猫は何かに失敗したとき、気を紛らわせようと「転位行動」をする
——猫は何かに失敗したとき、落ち込むのではなくどのような気持ちになると考えられますか?
獣医師:
「何かに失敗してしまった場合でも、猫本人は『あ、失敗しちゃった』とか『うまくいかなかったなぁ』といった失敗を認識する程度の気持ちでしょう。人のように、周りの人の目を気にすることはしません。
何かに失敗してしまったときに、気を紛らわせようとする行動は『転位行動』と言われています。これは猫が心の中で『葛藤』しているときに見せるしぐさで、猫が比較的軽いストレスを感じた際に気持ちをしずめるために、本来の原因とは関係のない行動をとり、心のバランスをとろうとしています。
人においては、ミスをしたときに頭をポリポリとかいたり、イライラしたときに貧乏ゆすりをしたりといったような行動が転位行動にあたります」
——猫の転位行動は、具体的にどのような行動が見られますか?
獣医師:
「猫の転位行動としては、グルーミング(毛づくろい)や爪とぎ、あくびなどの行動があげられます。
もし何かに失敗した後に、愛猫に転位行動が見られたとしても、本人の気持ちをしずめるために行っていると考えられる行動なので、深刻な問題を心配することはほとんどないと思われます」
落ち込んでいるように見える猫の姿 体調不良の可能性もあるので注意!
——飼い主さんから見て、愛猫が落ち込んでいるように見える姿でも、実は体調不良などの可能性もありますか?
獣医師:
「そうですね。愛猫が落ち込んで見えるとき、本当に元気がない、体調が悪いということもあり得ます。これを見分けるためには…
などを判断の基準にしましょう。また、名前を呼んでも反応しない、立ち上がれないなどの行動も、調子が悪い可能性があるでしょう。
落ち込んだように見えても、それが長く続くことはなく、普段と同じような生活に戻れるようなら、特に問題はないと思います。飼い主さんはよく観察してあげるようにしましょう」
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
取材・文/sorami
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