愛猫がストレスに強いタイプか弱いタイプか意識したことはありますか? 今回は大学講師の小野寺温先生に、猫のストレス耐性の決まり方や、ストレスに強い猫、弱い猫の傾向、ストレスの影響について伺いました。
猫のストレス耐性は何で決まるの?
猫の性格は、大半が両親から受け継いだ遺伝的素因、つまり生まれ持った性質によって決まるといわれています。
とくにストレスの感じやすさにかかわる「神経質か、大胆か」という部分は、父猫の遺伝によるものが大きいのだとか。
子猫時代の経験
子猫時代の「社会化期」といわれる生後2~9週齢に触れたものに対しては、成長後も恐怖を感じにくくなります。
そのため、社会化期にさまざまなものに触れた猫ほど、ストレスを感じにくいといえるでしょう。
母猫と過ごした期間
母猫が安全と判断するものは、子猫も安全と判断するなど、子猫は子育てを担う母猫から多くのことを学びます。長く母猫と過ごした猫ほど、身の回りのものの安全性を知っているため、ストレスを感じにくい傾向に。
ストレスに強い猫、弱い猫の特徴は?
先述した内容をふまえて、比較的ストレスに強い猫は以下の特徴があるといえるでしょう。
・生まれつき大胆でフレンドリーな猫
・子猫時代にいろいろなものに触れた猫
・母猫と過ごした期間が長い猫
一方、比較的ストレスに弱い猫は以下の特徴があると考えられます。
・生まれつき神経質・臆病な性格の猫
・子猫時代にいろいろなものに触れていない猫
・母猫と過ごした期間が短い猫
ストレスを感じ続けているとどうなる?
猫だけでなく多くの哺乳動物は、ストレスを感じると「コルチゾール」と呼ばれる副腎比質ホルモンが分泌されます。これは一時的に体を戦闘態勢にし、身を守るために必要な反応です。
しかし長期にわたって分泌されてしまうと、さまざまな悪影響が起こることが分かっています。
具体的にどんな不調が起こる?
代表的な不調としては、免疫力の低下があげられるでしょう。猫の場合、とくに特発性膀胱炎や猫カゼ、口内炎などの症状が出やすくなります。また、胃腸の働きが低下するため、下痢や嘔吐をしてしまうこともあるでしょう。
ほかにも心の不調として、気持ちを落ち着かせようと体をなめ続ける「常同行動」などが見られることもあります。
ストレスは猫の健康に影響をおよぼすため、できるかぎり減らしてあげることが大切です。そのためにも、愛猫のストレス耐性を知り、それにあったお世話を心がけ、愛猫がより安心して暮らせるようにしてあげたいですね。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2021年2月号『知ればお世話も変わります。愛猫はどっち? ストレスに弱い猫強い猫チェック』
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。