睡眠時間が人の倍にあたる16時間ほどと、1日のほとんどは寝ている猫ですが、起きているときにはじつにさまざまな行動やしぐさを見せます。今回は、猫が起きているときによく見せる5つのしぐさとその意味について、獣医師の藤井仁美先生に伺いました。
室内をウロウロパトロールする
元来猫は、休息や子育てする縄張りを拠点とし、その周りの行動圏を毎日パトロールします。飼い猫も、縄張りである家の中をチェックするのは大事な日課で仕事です。1日に数回、歩き回ったり、高い場所から室内を眺めたり、ニオイを嗅いで確認したりするでしょう。若い猫やオス猫ほど縄張り意識が強いため、より長く室内パトロールする傾向にあります。
観察するように飼い主さんをじっと見つめる
猫にジッと見つめられると、飼い主さんは観察されているように感じますが、この場合猫は、遊んでほしい、なでてほしい、おやつがほしいなど、何かを要求しているのでしょう。甘えん坊な“かまってちゃん”ほど飼い主さんを見つめる時間は長く、クールな“ほっといてちゃん”ほど短くなるといわれています。
なお、猫同士が見つめ合うのは威嚇のサインですが、飼い主さんをジッと見つめるのは安心できる相手だからこそ。やさしく名前を呼ぶだけでもいいので、できる範囲でかまってあげると、信頼関係が深まります。
何もないところを見つめる
壁の一点を凝視するなど、猫が何もないところを見つめることがよくありますよね。猫は聴覚が優れているため、人には何もないように思えても、小さな虫の羽音などで存在に気づいて見つめていると考えられます。
ただし、体調不良のときに何もないところを見つめる猫もいるため、注意が必要です。
テレビ画面にくぎづけになる
テレビの音や動く映像に刺激を感じて、反応する猫も多いもの。とくに、テレビに鳥や小動物が出ていると、狩猟本能がかきたてられていてもたってもいられなくなり、前足で画面をチョイチョイする猫もいます。
飼い主さんを待ち伏せ・後追いする
猫が飼い主さんと一緒にいることが当たり前になると、お風呂のときなどに浴室のドアの前で待ち伏せされたり、家事のときなどにあとをついて歩いたりすることがあります。
その行動はかわいいですが、あまりに時間が長いと、1匹になると鳴き続ける「分離不安」の可能性があります。ふだんから1匹で留守番させるなど、飼い主さんと離れる時間をつくっておくと安心です。
猫が起きているときに見せるしぐさや行動には、野性時代の習性から本能、猫が持つ能力が関係しているものまで、さまざまものがあります。愛猫との関係性をよくすることにも役立つので、それぞれのしぐさや行動にどんな意味があるのかよく知るようにしましょう。
お話を伺った先生/藤井仁美先生(獣医師 獣医行動診療科認定医 ペット行動カウンセラー)
参考/「ねこのきもち」2022年4月号『「よく寝る子」は起きてるときって、何してる? ねこの8時間』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。