鍋の中で丸くなったり、段ボールの中で四角くなったりと、まるで液体のように体の形を変化させる猫。なぜ、さまざまな容器に合わせて体を変化させることができるのでしょうか?今回はそんな猫の体の秘密について、哺乳動物学者の今泉忠明先生に教えていただきました。
柔軟性の秘密
お鍋や段ボールの中など、入る容器に合わせて丸くなったり四角くなったりできるほど、猫の体がやわらかいのは、骨格に特徴があるからです。人の体は約200個の骨からなっていますが、猫の体はなんと約240個の骨からできています。骨が多い分、関節も多くより柔軟な体勢になることができるのです。
バランス感覚の秘密
イスやクッションの上、飼い主さんの足の上など狭い場所の上でも絶妙な体勢でバランスを保っていられるのは、猫が優れた平衡感覚をもっているから。動物の耳の奥には、平衡感覚をつかさどる三半規管と前庭器官(ぜんていきかん)がありますが、猫はほかの動物に比べると、この2つの器官が発達しているのです。
密着性の秘密
狭い場所にすっぽりとはまっている愛猫を見たことはありませんか?
狭い場所に入り密着したがる習性は、穴蔵を住処にしていた野生時代の名残で、周りを囲まれた場所にピタッとはまることで安心するからといわれています。ほかにも、体を温めたいときや、甘えたいときにも何かに体をくっつける習性があるようです。
伸縮性の秘密
狭い場所で小さく丸くなったり、リラックスして体を長く伸ばしたりする姿は愛らしいですよね。
猫の体が伸縮自在なのは、柔軟性同様、骨の数の多さもありますが、それに加え骨と骨をつなぐ靭帯がほかの動物に比べて柔軟性に富んでいるから。関節全てを伸ばすと、普段より2~3割は長くなるといわれています。
液体のように変化する猫の体の秘密について迫ることができました。どんな容器にでも合わせることができるのか、ちょっと試してみたくなってしまいますね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2020年8月号『その身を自在にだらり、ぐにゃり。やっぱり猫は、液体でした。』
文/山村晴美
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。