災害はいつ起こるかわからないため、ふだんから防災グッズなどを準備しておくことが大切です。今回は、猫を複数飼いしている飼い主さんがすべき防災対策について、特定非営利活動法人ちよだニャンとなる会業務執行理事の香取章子さんに伺いました。
自宅に匹数分の“避難場所”をつくる
できるだけ安全かつ安心できる場所に猫自身が避難できるように、匹数分以上の“避難場所”を日ごろからつくり、その場所に慣れさせておきましょう。避難場所は頑丈な構造のケージが理想ですが、ある程度の衝撃に耐えられる猫用ハウスや、ハードタイプのキャリーケースでもOKです。
家具やものが倒れてこない場所を選んで置き、どの猫がどの場所を使うことが多いかを把握しておくとよいでしょう。
ハードタイプのキャリーケースを匹数分用意する
すべての避難法に欠かせないのが、ハードタイプの頑丈なキャリーケースです。猫を外に連れ出すときはもちろん、窓ガラスが破損した家で待機する際にケガや脱走を防ぐ役割もあるので、複飼いは匹数分のキャリーケースを用意しておきましょう。
ふだんからキャリーケースを部屋に出しておき、中でおやつを与えたり、心地よい場所にしたりして、猫にいい印象を持たせるようにしましょう。
猫ごとのフード、水を備蓄する
災害時は物流が止まったり、フードの販売店や動物病院が閉まったりすることがあります。複数飼いの場合は、年代や体質によって別々のフードを与えていたり、基礎疾患のある猫は療法食を与えていたりするケースも多いので、猫ごとのフードや水の備蓄を徹底しておきましょう。
フード・水の備蓄の目安
ふだんから与えているフード(療法食)は、猫ごとに最低でも1カ月分は買い置きしましょう。水は7日分(2リットル)を目安に、猫用の飲料水(軟水)を匹数分準備。フードも水も期限の早いものから消費し、消費分を買い足すことで一定量を備蓄する、ローリングストックを取り入れてください。
トイレ容器&砂のストックを多めに用意しておく
匹数+1個のトイレを設置している家が多いと思いますが、猫だけで自宅避難するなど、排泄物の処理がすぐにできないときには、さらに多くのトイレを置いておきたいもの。買い替えのとき古い容器は処分せず、ストック用として清潔に保管しておきましょう。車中避難や同行避難には、折りたためて軽量なポータブルトイレが持ち運びに便利です。
また、被災時はトイレ砂やペットシーツも手に入りにくくなるため、ふだんから1カ月分を目安に買い置きしておきましょう。
匹数分の防災グッズをセットしておく
猫たちと車中避難・同行避難するときのために、猫用の防災グッズもまとめておきたいもの。猫の数に比例してグッズの量も増えるため、持ち運べる重さを考慮したうえで、複数のリュックなどにセットしておきましょう。すぐに持ち出せるよう、玄関先や収納棚の手前など、取り出しやすい場所に置いておくことも大切です。
猫用防災グッズの目安
猫用の防災グッズは、猫ごとに用意するものと、まとめて用意するものがあります。
猫ごとに用意するもの
- キャリーケース
- 5日分のフード(療法食)
- 食器&水飲み器
- 常備薬
- 猫手帳&首輪、ハーネス
まとめて用意するもの
- 約5日分(1.5リットル)の軟水×匹数分
- 3日分のトイレ砂、ペットシーツ
- バスタオル
- ポリ袋
- ノンアルコールのウエットティッシュ
マイクロチップの装着、猫手帳、迷子札になる首輪を猫ごとに用意する
災害時には、猫たちとはぐれてしまう可能性もあります。猫の匹数が多いほどリスクは高くなるので、行方不明になったときのために、猫たちの体にマイクロチップを装着しておくことが重要です。さらに、再会の可能性を高めるためにも、猫手帳と首輪やハーネスの用意を。
猫手帳には、猫のプロフィールや与えているフード・薬・サプリメント、基礎疾患や去勢・避妊手術の有無、飼い主さんやかかりつけの動物病院の連絡先、ワクチン証明やペット保険の情報などを記載してください。首輪やハーネスの裏には、猫ごとに飼い主さんと猫の名前、連絡先を明記しておきましょう。
愛猫の命と健康を守るためにも、万全かつ充分な防災対策をしておきましょう。すでに防災対策をしているという人も、今回ご紹介した内容を参考に、今一度見直してみてくださいね。
お話を伺った先生/香取章子さん(特定非営利活動法人ちよだニャンとなる会業務執行理事 一般社団法人東京都人と動物のきずな福祉協会代表理事 フリーランスライター)
参考/「ねこのきもち」2024年9月号『9月は防災月間 猫たちとの“もしも”に備える9つの提案 複数飼いの、現実的な防災を考える』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。